この記事では、台湾で日本語教師になるのに必要な情報を解説します。
台湾は気候が温暖で食べ物もおいしいことなどから、日本人にとって非常に人気の高い観光地です。
台湾の人々も多くが日本に対して好意的な印象を持っており、日台間の関係は総じて友好的でもあります。
日本語教師という職業は世界中どこでも働けるのが魅力ですが、海外なら台湾で働いてみたいと思う方も多いのではないでしょうか?
でも、台湾といえば観光のイメージはあっても、日本語教育事情がどうなっているかまではあまり知らないという人も多いはず・・・
そこで、この記事では日本語教師として台湾に興味を持っている方向けにこんな疑問にお答えします。
- 台湾の日本語教育の需要はどのくらい?
- 台湾で日本語教師になるにはどんな資格が必要?
- 給料はいくらぐらい?
- 就職活動にはどんな方法がある?
台湾の日本語教育事情から、台湾で働くために必要な資格・要件、給料事情、就活事情まで、台湾で日本語教師として働くために知っておくべきことを詳しく解説します。
興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
- 台湾で日本語教師として働きたい方
- これから日本語教師として台湾に赴任することが決まっている方
- 海外で働いてみたいと思っている方
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台湾の日本語教育事情
台湾における日本語教育は、1895年から1945年の日本統治時代に、初等教育を中心に国語として行われていました。
当時の台湾の人口は約500万人で、日本語教育を受けた者は約200万人に上ると推定されています。
戦後は国語(中国語)教育が進められ、日本語教育は主に語学学校で行われていました。
しかし、1970年代以降、日本への観光客が増加するなど、日台間の交流が活発化したことから、日本語学習者の数は徐々に増加。
1990年代後半からは、高等学校における第二外国語教育の推進により、日本語学習者数は飛躍的に増加しました。
2000年代以降は、高等教育機関や学校教育以外での日本語教育も拡大しています。
最新の調査(2021年度)の教育段階ごとの学習者数・教師数内訳は以下のとおりです。
学習者数の4割強が大学などの高等教育機関の学生たちです。
高等教育機関では、日本語学科の設置数が増加し、日本語の専門性や実用性を高める動きが活発化しています。
また、台湾の人々の多くは日本に対して好意的イメージを持っているうえ、アニメや漫画、音楽、ドラマなど、日本のポップカルチャーは台湾でも人気を集めており、日本語の人気は非常に高いです。
さらに、日本への進学・就職をめざす学生の多さや日本企業の進出などにより、語学学校やコミュニティーセンターなどでは、ビジネス日本語や日本文化を学ぶコースが人気を集めています。
こうした状況のなかで一体日本語教師の需要はどのくらいあるのでしょうか?
次に解説していきます。
台湾での日本語教師の需要
台湾は世界でも有数の日本語教育の需要がある地域と言ってよいでしょう。
台湾の人々は総じて親日的で、日本文化にも非常に高い関心を持っています。
また、台湾からの観光目的の訪日客も多く、数ある外国語のなかでも日本語は人気の高い言語となっています。
そんな、台湾における日本語教育の需要について、最新の調査結果から解説します。
台湾の日本語学習者数
台湾の日本語学習者数は143,632人(国際交流基金「2021年度 海外日本語教育機関調査」)。
世界で8番目の多さです。
東アジアのなかでも、中国、韓国に次いで3番目の多さですが、2018年度調査以降は20万人を割り、減少傾向となっています。
この大きな要因は急速な少子化にあると考えられています。
台湾は世界のなかでも非常に出生率が低く少子化の進行が深刻で、日本語学習者の大半を占める、中・高・大学生の数が減っています。
少子化に伴う学校やクラスの統廃合やカリキュラムの再編成に加え、日本語以外の外国語学習の選択肢も広まっていることも一因です。
とはいえ、日本語は台湾では英語に次ぐ人気の外国語であり、10万人以上の日本語学習者を抱える数少ない地域であることから、日本語学習の需要はまだまだ十分に過ぎるぐらいあるといってよいでしょう。
では、次に日本語教師数の推移を見ていきます。
台湾の日本語教師数と日本人教師の割合
国際交流基金の調査によると、台湾で働く日本語教師は3,375名(「2021年度 海外日本語教育機関調査」)。
このうち、日本人教師は728名と全体の2割程度です。
初等・中等教育機関では日本人教師はほとんどおらず、大学または日本語学校が日本人教師の主な就労先となっています。
コロナ禍のロックダウンにより、一時的に日本人教師が減少しましたが、コロナの制限が緩和されたことにより、再び日本人教師の需要が回復することが期待されます。
このように日本人教師の需要が依然として高い台湾は、日本語教師が海外で働く場としては非常に魅力がある地域です。
次に、台湾で日本語教師になるために必要な資格・要件について解説します。
台湾で日本語教師になるには?
日本と台湾の関係は総じて良好で、日台間の民間レベルでの交流も活発に行われています。
台湾は日本人にとって最も人気の高い観光地のひとつで、親日的な雰囲気やおいしい食べ物など、海外で生活するなら一度は行ってみたいと思う方も多いのではないでしょうか。
そんな台湾で日本語教師になるにはどのような資格・要件が必要なのか、解説します。
まず、台湾で働くための主な要件は以下のとおりです。
台湾の主な日本語教師勤務要件 | |
---|---|
学歴要件 | 大卒 |
日本語教師 資格 | ・日本語教師養成講座修了 ・大学の日本語教師養成課程を主専攻(副専攻)履修・卒業 ・日本語教育能力検定試験合格 |
資格・要件 | その他・実務経験 |
(月収) | 給与目安10~15万円程度 |
さらに、台湾で日本語教師として働くために必要な就労ビザの取得要件と日本語教師資格について解説します。
就労ビザ
日本人が台湾に長期間在留し働くためには就労ビザの取得が必要です。
就労ビザの取得には原則、2年以上の実務経験が必要などの要件がありますが、日本語教師として働く場合は別扱いとなり、厳密には「教師ビザ」を取得することになります。
教師ビザの取得要件としては、「現地と雇用契約を結んでいること」と「日本語教師資格を所持していること」が必要です。
また、学歴は大卒以上が必要とされています。
なお、ビザのほかに「就労許可」及び「居留証」も取得する必要があります。
手続きの流れとしては以下のようになります。
【入国前】就労許可の取得
雇用主が手続きしますが、申請者が準備する書類(学歴証明書等)があるため、就労先と連絡を取り合いながら必要書類を用意し、早めに現地に送付しましょう。
【入国前】教師ビザの取得
日本にある台湾領事事務局でビザの申請を行います。
ビザの申請には、パスポート、就労許可証、日本語教師資格を証明する書類等が必要です。必要書類は事務局に事前に確認しましょう。
ビザが取得できれば、台湾への入国が可能になります。
【入国後】居留証の取得
入国後15日以内に、現地の移民署に行き、居留証の取得手続きを行います。
居留証を取得することで、長期滞在が可能になります。
就労ビザの取得には勤務先の協力が不可欠なため、勤務先と連絡をしっかり取りながら取得に向けた準備を進めていきましょう。
必要な日本語教師資格・経験
日本語教師としての採用要件については、多くの求人では日本国内の日本語学校等で必要な要件と同等の資格が必要とされています。
- 日本語教師養成講座420時間修了
- 大学(大学院)において日本語教師養成課程を主専攻(副専攻)
- 日本語教育能力検定試験に合格
あわせて、大卒以上の学歴を求められることも多くなっています。
また、子どもを対象とした日本語学校では、指導経験や教員免許が必要な場合があります。
中国語能力が必須要件になることはほぼありませんが、あると有利に働くケースがあります。
求人情報で必要な資格・要件や指導内容・指導対象をよく確認しましょう。
台湾における日本語教師の給料・待遇
台湾における日本語教師(常勤)の平均的な給与は、月収25,000から30,000元程度からのスタートです。
日本円(1元=4.6円)にすると、11万5,000円から13万8,000円程度になります。
これは基本給の金額になるため、コマ数に応じて加算給がでたり、住宅手当もあると、受け取れる給料はもう少し高くなる可能性があります。
日本と比較すると安く感じる金額ですが、台湾では食費や交通費、住宅費は日本より安く済むため、生活するには困らない給料といえます。
待遇面では基本給のほか、賞与支給・有給休暇付与・残業代・住宅手当・医療保険・渡航費用支給などがあるため、求人情報をよくチェックしましょう。
台湾の日本語教師求人情報の探し方
台湾の日本語教師の求人は豊富にあるため、日本語教師向けの求人サイトを見ればいつでも何かしらの求人情報が掲載されています。
求人情報が多いのはいいことですが、逆にどの求人を選べばいいのかわからなくなってしまうかもしれません。
養成スクールの就職支援を活用してOBの話を聞いたり、SNSで求人元の情報を調べてみるなど、できるだけ情報収集をしたほうがよいでしょう。
このほか、海外インターンシップやワーキングホリデーに参加する方法もあります。
海外で働くことに不安があったり、台湾で日本語教師の体験をしてみたいといった場合には、インターンやワーホリのほうが気軽に参加できるのでおすすめです。
ただし、ワーキングホリデー制度は年齢が30歳までである必要があります。
以下の関連記事では、海外インターンシップやワーキングホリデーについて解説しています。
また、おすすめのエージェントもご紹介していますので、興味があったら資料請求をしたり、無料説明会に参加してみるのもよいでしょう。
台湾ってどんなところ?
国・地域名 | 台湾 |
---|---|
首都 | 台北 |
人口 | 2,326万人(2022年、内政部統計処) |
面積 | 36,197㎢ |
気候 | 亜熱帯性気候 |
通貨 | 新台湾ドル ※1元=約4.6円 |
宗教 | 仏教、道教、キリスト教 |
言語 | 中国語(国語)、台湾語など |
歴史
台湾の歴史は、約6,000年前に先住民が渡来したことに始まります。
その後、中国大陸からの移民が流入し、16世紀にはオランダとスペインが進出しました。
1661年には、明朝の遺臣である鄭成功がオランダを追放し、台湾を支配しました。
1683年に清朝が台湾を統治すると漢民族の移民がさらに増加。
1895年には日清戦争の結果、台湾は日本の植民地となりました。
日本統治下では、インフラの整備や教育の普及などが行われ、台湾経済の発展につながりました。
また、日本統治の影響で、現在でも台湾には日本語や日本文化が根強く残っています。
終戦後、台湾は中華民国に返還。
1949年には中国国内の内戦で共産党が勝利し、中華民国政府は台湾に撤退しました。
これ以降、台湾は独自の政治体制を築き、経済的にも急速に発展してきました。
今日、台湾は経済発展が著しく、IT産業や電子産業などが盛んで、近年は観光業も急成長しています。
しかし、中国は台湾を自国の領土であると主張しており、両国の関係は緊張した状態にあります。
気候
台湾の気候は主に亜熱帯気候に分類されますが、島の北部は温帯の特徴を示すこともあります。
首都台北のある北部は冬に涼しく、夏は暑く湿度が高いです。
特に夏季には、気温が30°Cを超える日が多く見られます。
南部は1年中温暖で、冬でも比較的暖かいです。
台湾は台風の影響を受けやすい地域であり、特に夏から秋にかけては台風による強風や豪雨に見舞われることがあり、時に大きな被害をもたらします。
また、山岳地帯では、標高によって気温が低くなり、気候も変わってくるため、寒冷な気候を示す場所もあります。
通貨
台湾の通貨は新台湾ドル(New Taiwan Dollar、通貨コード: TWD)です。
通常、「NT$」や「元」と表記されます。
レートは、1元=約4.6円。
新台湾ドルは紙幣と硬貨が流通しており、日常生活で広く使用されています。
台湾ではキャッシュレス決済の普及も進んでおり、クレジットカードや電子マネー、モバイル決済などが広く使われていますが、市場や小規模な店舗では現金が好まれる傾向にあります。
公用語
台湾の公用語は標準中国語、一般に「国語」と呼ばれています。
これは、中国本土の北京方言を基にした普通話と非常に似ていますが、文字は繁体字を使用し、発音も微妙に異なります。
繁体字は中国本土で使用されている簡体字と異なり日本語の漢字とほぼ同じ漢字のため、中国語がわからなくても標識などは意味が分かることも多いです。
さらに、台湾には多様な言語が存在しており、その中でも台湾語(台湾閩南語)、客家語ほか多くの原住民言語が広く話されています。
台湾語は日常生活で広く使用されており、特に南部地域や年配の人々の間でよく使われています。
まとめ
以上、台湾で日本語教師として働くために必要な情報を解説しました。
- 学習者は少子化の影響で減少傾向にあるが、日本語教育の需要は依然高い
- 日本人教師の主な就職先は大学か日本語学校
- 日本語教師に求められる要件は「大卒+日本語教師資格」が基本
- 給与は月収11~14万円程度から
- 求人は多く常にあるため、慎重に比較することが必要
- 海外インターンシップやワーキングホリデーへの参加もおすすめ
台湾で日本語教師になるにはまず、日本語教師の資格要件を満たす必要があります。
日本語教師としての専門知識を身につけるとともに実践力を鍛えることができる日本語教師養成講座を受講することをおすすめします。
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