この記事では、オーストラリアで日本語教師になるために必要な情報を解説します。
オーストラリアは英語圏で最も日本語教育が普及している国です。
オーストラリアの日本語学習者は、中国、インドネシア、韓国に次いで世界第4位!
オーストラリアで日本語教師として働いてみたいと思う人も多いのではないでしょうか?
しかし、実際にはオーストラリアで日本語教師になるのは簡単なことではないんです。
これにはオーストラリアの特殊な日本語教育事情が関係しています。
この記事ではこんな疑問にお答えします。
- オーストラリアの日本語教育の需要はどのくらい?
- オーストラリアで日本語教師になるにはどうすればいい?
- 求人情報の探し方は?
- オーストラリアってどんな国?
オーストラリアの特殊な日本語教育事情、必要な資格要件、求人探しの方法、オーストラリアの基本情報まで、オーストラリアで日本語教師として働くために知っておくべきことを詳しく解説します。
興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
- オーストラリアで日本語教師として働きたい方
- これから日本語教師としてオーストラリアに赴任することが決まっている方
- 海外で働いてみたいと思っている方
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オーストラリアの日本語教育事情
オーストラリアにおける日本語教育は、1906年にメルボルンで始まり、1917年には陸軍士官学校とシドニー大学で開始されました。
第二次世界大戦後、日豪経済貿易協定締結に伴い、1960年代から1970年代にかけてオーストラリア国立大学、クイーンズランド大学、モナシュ大学などで日本語教育が盛んになりました。
1970年代に多文化主義への転換を図ったオーストラリア政府は、日本語を含む多言語教育を推進。
これにより、約20年間で日本語学習者数が約40倍に増加。
2000年代以降も学習者数は多少の増減を繰り返しながら現在に至っています。
最新の調査(2021年度)の教育段階ごとの学習者数・教師数内訳は以下のとおりです。
学習者数の層が初等教育と中等教育段階(小・中・高等学校)に集中していることが見てとれます。
これがオーストラリアの特殊な日本語教育事情です。
オーストラリアは学校教育現場での日本語教育が世界で最も普及している国なのです。
オーストラリアの学校教育は州ごとに方針・カリキュラムが異なります。
外国語学習のカリキュラムがある州では、中国語やインドネシア語と並んで日本語が重要言語として位置づけられています。
日本のアニメ・マンガの人気もあって、小・中・高等学校で日本語を選択する学生が多いのが現状です。
逆に言えば、日本への進学・就職を目的とした学習者は少数派ということになります。
オーストラリアでの日本語教師の需要
他国とは異なる特徴を持つオーストラリアにおいて、日本語教師の需要はどの程度あるのでしょうか?
特にネイティブの日本人教師の活躍の場はどこにあるのでしょうか?
近年の動向を分析しながら、需要を考察していきます。
オーストラリアの日本語学習者数
オーストラリアの日本語学習者数は415,348人(国際交流基金「2021年度 海外日本語教育機関調査」)。
世界4番目で、アジア以外の地域ではトップです。
オーストラリアの日本語学習者層は、主に初等教育と中等教育段階での層が大半です。
州ごとに学校教育における外国語教育の方針やカリキュラムは異なり、初等教育段階で新たに学国語学習を必修化した州もあれば、外国語プログラムを廃止する州もあります。
各州の施策によるものもありますが、学校教育での日本語学習者数は確実に伸び続けています。
では、次に日本語教師の状況について見ていきます。
オーストラリアの日本語教師数と日本人教師の割合
国際交流基金の調査によると、オーストラリアで働く日本語教師は3,052人(「2021年度 海外日本語教育機関調査」)。
そのうち、ネイティブの日本人教師の割合は約3割です。
では、日本人教師はどのような現場で活躍しているのでしょうか?
現地人教師と日本人教師の教育現場の内訳を以下の表にまとめました。
教育段階 | 現地人教師 | 日本人教師 |
---|---|---|
初等教育 | 1,010人 | 301人 |
中等教育 | 1,389人 | 284人 |
高等教育 | 90人 | 105人 |
学校教育以外 | 59人 | 288人 |
現地人教師は学習者数の多い初等・中等教育段階に集中しているのに対し、日本人教師はすべての教育現場に満遍なく分布しているのが特徴的です。
ただし、実際には日本人教師の求人は少ないのが現状です。
それはなぜなのか・・・次で解説します。
オーストラリアで日本語教師になるには?
オーストラリアで日本語教師になるには以下の3つの方法があります。
- 小・中・高校の教員になる
- 大学(大学院)の教員になる
- 日本語学校の日本語教師になる
結論から言ってしまえば、いずれの方法もかなり高いハードルになります。
それぞれ解説します。
1 小・中・高等学校(初等・中等教育機関)の教員
日本語学習者の約96%が集中する小・中・高等学校などの初等・中等教育機関で日本語教師として働くには、オーストラリアの教員免許が必要です。
日本で日本語教師資格や教員免許を持っていても、オーストラリアの教員になることはできません。
オーストラリアの教員免許を取得するには、オーストラリアの大学(教育学部など)に進学する必要があります。
相当な学費がかかるうえ、非常に高い英語力が求められます。
なお、大学での教員免許に必要な要件・カリキュラム等は州ごとに異なるため、進学希望先の州の規定を確認する必要があります。
さらに、教員免許を取得しただけでは教員になることはできず、州の教育委員会の採用試験に合格しなければなりません。
このため、オーストラリアの小・中・高等学校の教員として日本語を教えるには非常に狭き門となります。
ただ、600人近くの日本人教師が小・中・高等学校で活躍していることは事実のため、可能性がないわけではありません。
チャレンジ精神と覚悟をもって挑戦してみるのもよいでしょう。
2 大学・大学院(高等教育機関)の教員
オーストラリアの大学(大学院)で日本語教師になるには、一般的には日本に関する専門分野の研究者として就職する方法があります。
このため、学歴としては修士号または博士号が必要です。
大学(大学院)では日本語教師として就職するというよりかは、日本に関する専門分野(日本語学、日本文学など)の研究者として就職し、専門分野に関する講義・研究の傍ら日本語も教えるというイメージです。
ただし、オーストラリアでは高等教育機関における日本語学習者数は全体の3%にも満たないため、学歴要件等は満たしていても、大学の教育方針とタイミングがうまくマッチしなければ就任できません。
研究者および日本語教師としてキャリアアップを図るうえでの選択肢の1つとして考えるのが妥当ではないでしょうか。
3 日本語学校(民間教育機関)の日本語教師
オーストラリアにも日本語学校などの民間の日本語教育機関がありますが、数としては約70とそれほど多くはありません。
オーストラリアの日本語学校で働くには、必須ではないところもありますが、日本国内の日本語学校等で必要な要件と同等の以下のいずれかの日本語教師資格があると有利です。
- 日本語教師養成講座420時間修了
- 大学(大学院)において日本語教師養成課程を主専攻(副専攻)
- 日本語教育能力検定試験に合格
ただし、求人案件は少なく、非常勤やコマ単位での採用がほとんど。
就労ビザが取得可能な正規職員としての案件は稀です。
ワーキングホリデービザでアルバイトとして働くことになるのが一般的です。
本格的に日本語教師として教えるのか、日本語アシスタントとして働くのかは学校によって異なります。
また、直接法か間接法かについても学校によって異なりますが、いずれにしても英語力は必要になります。
オーストラリアの日本語学校で働くには、ワーキングホリデーを活用しましょう。
ただし、ワーキングホリデー制度は年齢が30歳までである必要があります。
オーストラリアの日本語教師求人情報の探し方
小・中・高校への就職をめざす場合は、オーストラリアの大学に進学し教員免許を取得したうえで、州の教員採用試験を受ける必要があります。
大学・大学院の求人については、現地の求人情報や日本の大学、研究者同士のつながりが主なルートになるでしょう。
また、求人サイトでも掲載される可能性があるため、チェックしてもよいでしょう。
以下の関連記事では、日本語教師向けの求人サイトを紹介しています。
ワーキングホリデー制度で現地の日本語学校の求人を探す場合は、基本的には自分で現地の求人情報を探すことになりますが、ワーホリエージェントの就職サポートでアドバイスを受けることも可能です。
ワーキングホリデーについては、以下の関連記事でおすすめのエージェントを紹介していますので、参考にしてください。
オーストラリアってどんな国?
国名 | オーストラリア連邦 |
---|---|
首都 | キャンベラ |
人口 | 2,627万人(2022年、オーストラリア統計局) |
面積 | 7,692,024㎢ ※日本の約20.3倍 |
気候 | 地域によって異なる ※「気候」を参照 |
通貨 | オーストラリアドル(AUD) ※1ドル=約95円 |
宗教 | キリスト教ほか |
言語 | 英語 |
歴史
オーストラリアの歴史は、約6万年前に先住民アボリジニが到来したことに始まります。
1770年にイギリスの探検家ジェームズ・クックがオーストラリア大陸を発見し、イギリスの植民地となりました。
1901年には、イギリスからの独立を果たし、オーストラリア連邦が成立。
オーストラリアは移民国家として知られ、19世紀には金の発見をきっかけに、世界中から多くの人々が移住してきました。
その後も、第二次世界大戦後の経済発展に伴い、移民はさらに増加。
現在、オーストラリアの人口は、約7割が移民またはその子孫であるといわれています。
オーストラリアは、多民族国家として、多様な文化が共存する国です。
国土の約2割が国立公園や保護区に指定されており、豊かな自然にも恵まれています。
また、近年は、経済成長や教育水準の高さなどから、移住先としても人気が高まっています。
気候
オーストラリアは南半球に位置します。
このため、日本の季節とは逆で、12月から2月が夏、3月から5月が秋、6月から8月が冬、9月から11月が春です。
オーストラリアの気候は、国土が広大で地域によって大きく異なります。
北部は、熱帯気候に属しています(ケアンズ、ダーウィンなど)。
1年を通して気温が高く、湿度も高いです。
乾季は30度を超える日が多く、雨季(11~4月)には豪雨が降ることもあります。
北東部と南東部は、亜熱帯気候に属しています(ブリスベン、ゴールドコーストなど)。
夏季は暑く、冬季は温暖で、雨季と乾季があり、雨季には豪雨が降ることもあります。
南部は、温帯気候に属しています(シドニー、メルボルン、アデレード、パースなど)。
四季があり、夏季は温暖で、冬季は涼しいです。
降水量は比較的少なく、乾燥しています。
内陸部は、砂漠気候に属しています(ウルル、アリス・スプリングスなど)。
1年を通して気温が高く、乾燥しています。
年間降水量は100mm以下で、砂漠地帯では10mm未満の地域もあります。
このほか、西オーストラリア州の南西部、南オーストラリア州の一部では地中海性気候の地域があり、暖かく乾燥した夏と、温暖で雨の多い冬が特徴です。
通貨
オーストラリアの公式通貨はオーストラリアドル(AUD)です。
オーストラリアドルは世界の主要通貨の一つで、国際的にも広く利用されています。
レートは1ドル=約95円。
硬貨は5セント、10セント、20セント、50セント、1ドル、2ドルの6種類があり、紙幣は5ドル、10ドル、20ドル、50ドル、100ドルの5種類が流通しています。
近年では、キャッシュレス決済の普及が進んでおり、クレジットカードやデビットカード、モバイル決済なども広く利用されています。
公用語
オーストラリアの公用語は英語です。
オーストラリアで話される英語は「オーストラリア英語」と呼ばれ、総じてイギリス英語に近い特徴がありますが、独特のアクセントとスラングがあります。
また、多文化国家であるため、イタリア語、ギリシャ語、広東語、アラビア語、ベトナム語など、多くの言語が話されています。
また、オーストラリア先住民の言語もあり、200以上の先住民言語が存在するといわれています。
まとめ
以上、オーストラリアで日本語教師として働くために必要な情報を解説しました。
- オーストラリアの日本語学習者数は世界第4位で、英語圏ではトップ
- 学習者層は小・中・高等学校に集中している
- 小・中・高等学校で日本語教師になるには、現地の教員免許が必要
- 大学・大学院の場合は、修士号以上の学歴が必要
- 日本語学校の場合は、ワーキングホリデービザで働くのが一般的
- 求人は少ないため、求人サイトや人脈を活用して根気強く探す
オーストラリアで日本語教師になるには、日本語教師資格を持っていると有利です。
日本語教師としての専門知識を身につけるとともに実践力を鍛えることができる日本語教師養成講座を受講することをおすすめします。
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