この記事では、タイで日本語教師として働きたいと思っている方に必要な情報を解説します。
あなたはなぜタイで働きたいのですか?
動機は人それぞれですが、なんとなく「あったかいから」「食べものがおいしいから」「タイ旅行に行って楽しかったから」・・・で選んでいませんか?
タイは日本語教師として働くのに非常に魅力のある国です。
でも、仕事としてタイに行き、タイで生活する以上、旅行感覚で決めてしまうとあとで後悔しかねません。
- タイで日本語教師になるにはどんな資格が必要?
- 就労ビザの取得要件は?
- タイにはどんな勤務先がある?
- 給料はいくらぐらい?
- 就職活動にはどんな方法がある?
- タイの日本語教育の需要はどのくらい?
こんな疑問にお答えするため、この記事では、タイという国の概要から、必要な資格要件、就労ビザの取得方法・手順、日本語教師の給料事情、就職活動の方法まで、タイで日本語教師として働くために知っておくべきことを詳しく解説します。
タイで日本語教師として働くことに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
- タイで日本語教師として働きたい方
- これから日本語教師としてタイに赴任することが決まっている方
- 海外で働いてみたいと思っている方
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タイで日本語教師になるには?
タイで日本語教師として働くためには、まず就労に必要なビザおよび労働許可の条件を満たしたうえで、勤務先の採用要件を確認する必要があります。
タイの多くの求人情報で見受けられる一般的な資格・要件を以下の表のまとめました。
タイの主な日本語教師勤務要件 | ||||
---|---|---|---|---|
ビザの種類 | ビザ(ノンイミグラントビザ-B) + ワークパーミット(労働許可証) | |||
ビザ取得要件 | 大卒 + 日本語教師資格 ほか | |||
勤務先 | 日本語学校 | 大学 | 中学・高校 | 企業 |
学歴要件 | 大卒 | 修士以上 | 大卒 | 大卒 |
資格 | 日本語教師・養成課程 ・検定試験 | 修士or博士 (日本語教育) | ・養成課程 ・検定試験 | ・養成課程 ・検定試験 |
資格・要件 | その他実務経験 | ・実務経験 ・語学力 | ・実務経験 ・教員免許 | ・実務経験 ・ビジネス経験 |
(月収) | 給与目安8~15万円 | 10~20万円 | 8~15万円 | 8~15万円 |
上表はあくまで参考のため、実際には勤務先ごとに異なります。
まずは、タイで働くための就労ビザの取得について、詳しく解説します。
就労ビザ
日本人がタイで長期滞在し就労するためには、ビザ(在留許可)とワークパーミット(労働許可証)の取得が必要です。
取得には、原則として「大卒以上の学歴」と「日本語教師の資格」が要件です。
必要な手続きは、タイ入国前に日本で行うものと現地で行うものがあります。
滞在に必要なビザの申請は、日本にあるタイ王国大使館(東京)または総領事館(大阪・福岡)で事前に申請する必要があります。
申請するビザの種類は「ノンイミグラント-B」です。
申請書と必要書類を揃えて、期間に余裕をもって手続きしましょう。
なお、申請には事前のオンライン予約が必須です。
必要書類も含め、各施設の公式サイトを確認してください。
現地のタイ労働局で申請・取得します。
日本で取得したビザは90日間の滞在許可のため、労働許可が下りたら、移民局で滞在許可延長申請を行います。
これにより最長2年間の滞在が可能になります。
なお、「ワンストップサービスセンター」でワークパーミットとビザ延長手続きが同時に行える場合があるため、詳しくは勤務先にお尋ねください。
一連の手続きには、申請者本人が用意する書類と雇用主側が作成する書類が必要です。
勤務先によっては取得代行費用を負担してもらえることもあるため、勤務先や代行業者などの協力を得ながら期間に余裕をもって手続きしましょう。
必要な日本語教師資格・経験
タイで日本語教師として採用されるためには、まず日本国内の日本語学校等で必要な要件と同等の資格が必要です。
- 日本語教師養成講座修了
- 大学(大学院)において日本語教師養成課程を主専攻(副専攻)
- 日本語教育能力検定試験に合格
以上の資格に加えて、勤務先の種類ごとに必要とされる要件を解説します。
日本語学校
日本語学校といってもさまざまありますが、他の機関と比べると、要件のハードルは最も低いといえます。
養成課程を修了しているか検定試験に合格していれば応募可能な求人が多いです。
しかし、学校によっては、一定の経験年数や語学力(タイ語・英語)が求められる場合があります。
大学
待遇面がいい分よりレベルの高い要件が求められます。
日本語教師としての資格に加えて、基本的には日本語教育関連を専門とする修士以上の学歴が必要です。
また、指導経験や語学力(タイ語・英語)もほぼ必須です。
このほか、年齢制限が設けられている場合もあります。
初等・中等教育機関(幼稚園・小・中・高校)
まず必要になるのが語学力です。
これは日本語の授業で必要というよりは、教員間のコミュニケーションに必要だからです。
勤務先の学校には日本人教師が自分だけということも珍しくありません。
日本語の授業以外にも学校行事や雑務も行うことになりますから、業務に支障がない程度にタイ人教師とコミュニケーションがとれる語学力(タイ語または英語)が必要です。
また、インターナショナルスクールの場合はより高度な英語力が求められます。
このほか、学校の教員免許所持者が優遇されるケースもあります。
日系(外資系)企業・技能実習生送り出し機関
採用要件に含まれるかは別として、日本語だけでなく日本のビジネススキル・マナーを教える必要もあることから、ビジネス経験を積んでいることが望ましいです。
また、タイ人スタッフと仕事をするため、一定のタイ語能力とビジネスパーソンとしてのコミュニケーション能力も求められるでしょう。
タイにおける日本語教師の給料・待遇
タイにおける日本語教師の平均的な給与としては、月収約8万円から15万円程度です。
大学の場合は求められる能力も高いため、10~20万円程度でさらに高いこともあります。
ただ、タイでは地域によってかなり収入の違いがあるようです。
たいちさん、タイでも日本語教師を募集されていますが、条件が日本語教師養成講座420時間終了で日本の大学を卒業していないと教師ビザが下りないそうです。バンコクなら給料は日本円で月14万位。地方だと10-12万位だそうです。
— リミ@女ですが3つの会社代表(Rimi) (@RimiMakino) March 25, 2023
タイ人の平均月収は10万円程度と言われているため、日本語教師は現地の人よりやや高い給料がもらえるようです。
タイでは庶民的な屋台では1食100~200円程度で済ませられますし、公共交通機関も安いため、ぜいたくな暮らしをしなければ、生活に困ることはないです。
ただ、タイでは世界的なインフレの影響を受けて、近年物価が上がってきているため、場合によっては少し切り詰める必要も出てくるかもしれません。
待遇面では基本給のほか、賞与支給・有給休暇付与・残業代・住宅手当・医療保険・渡航費用支給などがあるため、求人情報をよくチェックしましょう。
タイの日本語教師求人情報の探し方
養成機関による紹介
タイに付属校や提携校を持つ養成機関の紹介が最も確実な方法です。
また、採用試験一部免除などのメリットを受けられる場合があります。
このほか、タイへの就職実績が多くある養成スクールを選んで受講すれば、手厚いサポートを受けられます。
また、養成機関は求人情報を豊富に扱っており、自分で探すよりもはるかに効率的です。
多くの機関では養成課程修了後も就職サポートを受けられるので、まずは養成機関を頼ってみることをおすすめします。
海外派遣プログラムに参加する
海外派遣プログラムには、JICAまたは国際交流基金の公的機関によるプログラムと、民間の日本語学校等が主催するプログラムがあります。
JICA(海外協力隊)は年2回(春・秋)募集があり、中学校・高校への派遣が多いです。
実務経験や教員免許があると優遇されるケースもありますが、大卒で日本語教師資格を所持しているだけでも応募できる案件も多数あります。
国際交流基金(日本語教育専門家など)でタイが派遣先のプログラムがありますが、募集は不定期です。
求人サイトで探す
タイの求人は多いため、求人サイトでも比較的簡単に探すことができます。
以下の関連記事では、タイの求人も掲載されている求人サイトを紹介しています。
海外インターンシップに参加する
タイはインターンシッププログラムが充実しています。
数か月間から2年間のプログラムまであり、インターン先も日本語学校や教育機関など多彩です。
海外インターンシップは海外での仕事を体験することが目的ですが、プログラムや派遣先によっては、インターン期間中に内定をもらえる場合もあるようです。
「タイへ働いてみたいけど、海外生活に不安がある方」や「タイで働く前に、タイ語を身につけたい方」にはおすすめです。
以下の関連記事では、海外インターンシップについて詳しく解説していますので、興味がある方はお読みください。
タイでの日本語教育の需要
果たして日本語教育の需要はどのくらいあるのでしょうか?
最新の調査結果から、タイにおける日本語教育の需要を解説します。
タイの日本語学習者数は世界第
位タイの日本語学習者数は約184,000人(国際交流基金「2021年度 海外日本語教育機関調査」)。
世界第5位の多さで、日本語教育がさかんな東南アジア諸国では、インドネシアに次いで2番目に位置しています。
近年は17~18万人台で高止まりしていて、依然として学習者数が多い状況です。
タイの場合、中等教育段階で第二外国語としてカリキュラムに取り入れられており、学習者数全体の約8割を占めており、これが学習者数の多さを下支えしていると考えられます。
タイで活躍する日本語教師の数
国際交流基金の調査によると、タイで働く日本語教師は2,015名(「2021年度 海外日本語教育機関調査」)。
学習者数同様、教師の数も2,000人台で推移しています。
この教師数にはタイ人の日本語教師も含まれています。
2018年から2021年に微減しているのは、コロナ禍の影響が考えられ、多くの日本人教師が帰国せざるを得ない状況になったようです。
コロナがほぼ収束しつつあるなか、今後日本人教師の需要がどの程度回復するか注目していく必要があります。
タイの日本語教育事情
タイの日本語教育は1960年代にバンコクにあるチュラロンコーン大学、タマサート大学で取り入れられ、以降各地の大学に広まっていきました。
タイでは長い間、高等教育機関が日本語教育の中心となってきましたが、近年はその中心が中等教育機関に移りつつあります。
最新の調査(2021年度)の教育段階ごとの学習者数・教師数内訳は以下のとおりです。
上表のとおり、学習者数は中等教育機関が8割以上を占めています。
次に高等教育機関が10%程度と続きますが、民間日本語学校などの学校教育以外ではわずか4%というのがやや意外です。
ただ、このような背景には国の政策も大きくかかわっており、日本人が日本語教師として働くにあたっては、内情を詳しく見ていく必要があります。
それでは、教育段階別に解説していきます。
なお、タイの学校教育制度は、小学校(6年制)・中学校(3年制)・高校(3年制)・大学(4年制)です。
初等教育(小学校)
初等教育段階においては、日本語教育を取り入れている小学校は非常に少ないのが現状です。
一部の小学校で第二外国語として導入されているのにとどまり、日本語教師の活躍の場は限られています。
中等教育(中学校・高等学校)
1980年代に入り、中等教育段階で日本語が第二外国語のひとつとして採用。
2010年には「WORLD-CLASS STANDARD SCHOOL」と呼ばれる、中等教育の国際化を目的とした新たな教育方針が打ち出され、日本語教育が文系だけでなく理系の学生も履修できるようになったことから、急激に学習者が増加しました。
ただし、カリキュラムの一環として日本語を学ぶ中高生もおり、すべての学習者が自ら積極的に日本語を学んでいるわけではないのが実情です。
中等教育機関における日本語教師のうち日本語母語話者は約3割。
タイの中等教育機関で働くには、直接採用のほかJICA(海外協力隊)、国際交流基金(日本語パートナーズなど)による派遣があります。
高等教育(大学・大学院)
1961年にチュラロンコーン大学とタマサート大学で日本語講座が開講したのを皮切りに、タイでは高等教育機関が日本語教育の主要なフィールドとなってきました。
学習者数の割合としては全体の10%程度ですが、80以上の大学で日本語教育が行われているほか、30以上の大学で日本語教育主専攻課程が設置されています。
さらには、タイの高等教育の中心となっている、チュラロンコーン大学・タマサート大学・カセサート大学の各大学院などでは日本語教育専門の修士課程が設置されています。
近年は博士課程も新設されるなど、タイでは高度な日本語研究のフィールドが整備されつつあります。
学校教育以外
韓国語の人気上昇やオンライン教育の普及等の影響により、日本語学校などの民間の教育機関で学ぶ学習者数は減少傾向にあります。
しかし、アニメや漫画といった日本文化に高い関心を持つタイ人は依然として多く、日本人教師の求人情報も常にある状態です。
また、タイに拠点を持つ日系企業も多いため、日本人教師の活躍の場はまだまだありそうです。
タイってどんな国?
国名 | タイ王国 |
---|---|
首都 | バンコク |
人口 | 6,609万人(2022年内務省統計) |
面積 | 51万3,115㎢(日本の約1.4倍) |
気候 | 熱帯 |
通貨 | バーツ(B) ※1バーツ=約4円 |
宗教 | 仏教、イスラム教、キリスト教など |
言語 | タイ語 |
歴史
タイの歴史は、古くは大理石の語源ともなっている大理国からはじまり、13世紀にはじめての統一王朝スコータイ朝が成立しました。
スコータイ朝全盛期の王ラーマ=カムヘンはタイ文字の制定、バンコク大学の創設など現在のタイの礎を築いたとされています。
次の王朝アユタヤ朝では、タイ初の憲法が制定。日本との交易もさかんに行われ、アユタヤには日本人町も形成されました。
現在の王朝は18世紀、ラーマ1世によって成立したバンコク朝(チャクリ朝/ラタナコーシン朝)。
18世紀から20世紀初頭にかけて、タイは東南アジアで唯一欧米列強による植民地化を免れ、独立を維持し続けました。
そんな苦難のなかでも、タイの発展に尽力したとされるラーマ5世(チュロンコーン王)は今でも国民から英雄視され、王の名を配したバンコクにあるチュラロンコーン大学はタイの最高学府として有名です。
戦後、タイは目覚ましい経済発展を遂げ多くの日系企業も進出しています。
一方で、たびたび軍部のクーデターが発生し、政情が不安定になるたびに国王が仲裁に入るなど、政治面では不安要素が今でもくすぶっています。
気候
タイは熱帯に属しているため、年間を通じて気温は高く暑い日が続きます。
季節は、雨季(5~10月頃)・乾季(10~2月頃)・暑季(2~5月頃)の3つに分かれています。
雨季は年間を通じて最も降水量が多く、毎日のように雨が降りますが、1日中降り続くことはありません。短時間で大量の雨が降るスコールも珍しくなく、道路が冠水することもしばしばあります。
乾季は雨がほとんど降らず晴天の日が続きます。日中は暑く35度以上も普通ですが、空気は乾燥しているため過ごしやすいです。
暑季は気温も湿度も高く、朝から猛烈な暑さとなり、夜になってもあまり気温が下がりません。
通貨
タイの通貨はタイバーツです。
円に換算すると、1バーツ約4円のため計算は簡単です。
バーツ紙幣は2016年に即位した現国王の肖像画が印刷されていますが、前国王(プミポン国王)の紙幣もまだ流通しています。
最高額紙幣は1000バーツ紙幣で日本円では約4000円ですが、タイ人には日本人にとっての1万円以上の感覚ともいわれ、個人のお店では受け付けてくれない場合もあるようです。
公用語
タイの公用語はタイ語です。
バンコクやチェンマイ、プーケットなどの有名観光地では英語が通じますが、日常生活を送る場面では英語はほとんど通じないと考えたほうがよいです。
このため、買い物や公共交通機関を利用する際に必要な最低限の会話ができるようにしておきましょう。
日本人がタイ語を学習する際に最も苦労するといわれるのがタイ文字の習得です。
タイ文字は象形文字のような独特の形をしており、読み方のパターンも特殊な言語です。
声調は5種類ですが、声調さえマスターすれば発音はそれほどハードルは高くありません。
いきなり文字から入ると挫折する可能性が高いため、日常会話の練習を中心に少しずつ文字を覚えていくのがよいでしょう。
まとめ
以上、タイで日本語教師として働くために必要な情報を解説しました。
- タイで働くには、ビザとワークパーミットの取得が必要
- 労働許可取得要件として、「大卒+日本語教師資格」がまず前提条件
- 日本語学校なら未経験でも働けるチャンスがある
- 教育機関や企業に応募するには学歴や経験が必要な場合が多い
- 給与は月収8~15万円程度。条件次第では20万円以上も。
- 主な就職活動の方法は「養成機関の紹介」「海外派遣プログラム」「インターンシップ」「求人サイト」
- 就職活動は養成機関を頼るのが王道
- タイの日本語教育需要は高く、学習者数は世界第5位
タイで日本語教師になるにはまず、日本語教師の資格要件を満たす必要があります。
日本語教師としての専門知識を身につけるとともに実践力を鍛えることができる日本語教師養成講座を受講することをおすすめします。
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