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この記事では、主に日本語教師をめざす大学生の方向けに、新卒で日本語教師になるために必要な情報と就活のポイントを解説します。
日本語教師は日本語を母語としない人に日本語を教える職業です。
現在大学で日本語教育を学んでいる人もいれば、これから養成講座を受講して日本語教師をめざそうとしている大学生の方もいるでしょう。
大学卒業後、日本語教師として働くためには他の職種と同様に就職活動が必要です。
日本語教師になるための就職活動を考えるなかでこんな疑問や不安を抱くかもしれません。
- 日本語教育の業界は今後明るいの?
- 新卒から日本語教師になれるチャンスはある? 正社員になれる?
- 日本語教師の就活はいつから始めればいい? 就活の進め方と大事なポイントは?
- 大学在学中にやっておいたほうがいいことは何?
新卒としての道のりにはどのようなポイントがあるのでしょうか?
この記事では、新卒で日本語教師になるための求人事情や就活ポイントを解説します。
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日本語教師に関する新卒者の求人事情
2022年度の国内における日本語教師の数は約44,000人。
2019年度まで一貫して伸び続けていた日本語教師数がコロナの入国制限による外国人留学生等の激減に伴って2021年度には4万人を切っていましたが、入国制限が緩和で再び増加に転じています。
今後も日本に入国する外国人が増えることが予想され、それに伴って日本語教師の需要も増加し続けると考えられます。
また、2024年度の日本語教師国家資格化により、ますます日本語教師の需要が高まるものと推測できます。
知名度が高いとは言えない日本語教師という職業が今後注目される可能性を秘めた成長市場なのです。
そんな日本語教師の求人事情について、経験を重視するイメージがありますが、新卒採用の数も少なくなく、近年は研修制度が充実している求人も増えているようです。
また、希望的観測も含みますが、コロナによる日本語教師の減少により日本語教師を完全に辞めてしまった教師も多いようです。
日本語教師不足に悩む日本語学校等もあることから、今後新たな人材である新卒者の採用が増加することも期待できます。
よって、計画的かつ着実に就職活動をすれば、新卒で日本語教師としてのキャリアをスタートできるチャンスは大いにあります。
新卒の就職先は?
新卒・未経験で日本語教師になる場合、国内の日本語学校または海外の日本語学校が主な就職先です。
国内の日本語学校
国内の日本語学校の場合、まずは非常勤講師からはじめて数年間経験を積んだあと、常勤講師にステップアップしていくのが一般的です。
新卒・未経験の場合、非常勤講師の給与は、授業1コマあたり1,500円程度からのスタートになります。
ただし、近年は新卒者を対象とした常勤講師の採用を行っている日本語学校もあります。
また、採用を前提とした事前研修の目的で、新卒者向けインターンシップ生を受け入れる日本語学校もあり、新卒者限定の求人も見受けられます。
新卒者対象の求人情報は採用の1年ほど前から出てくることがあるため、3年生の秋ごろから求人サイトをこまめにチェックするとよいでしょう。
国内のインターンシップについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてお読みください。
海外の日本語学校
海外の日本語学校の場合には常勤講師として働くことが可能です。
給与は現地の生活に困らない程度しかもらえないことが多く、福利厚生も多くは望めません。
求人情報を探す際には、待遇面をよく確認しましょう。
国内だとハードルが高い常勤講師としての採用も、海外だとそのハードルは低くなります。
まずは海外で数年間経験を積み、帰国後国内の日本語学校で常勤講師になるというルートも十分考えられます。
注意点としては、渡航先の国で働くための就労ビザの要件として、修士以上の学歴が求められるケースもあるということです。
大学の新卒では働けない国もあるため、希望する国の就労ビザの要件もあわせて確認しましょう。
その他の就職先
このほか、企業に就職し外国人社員に日本語を教える方法もありますが求人としては少ないです。
また、JICAや国際交流基金の海外派遣プログラムでボランティアとして海外に赴任する方法もあります。
新卒で正社員になれる?
日本語教師でも大学卒業後、一般企業並みの給与・福利厚生を受けられる正社員になることは可能です。
実際に、国内の日本語学校では、未経験者歓迎の求人があるほか、翌年度の4月1日を採用日とした新卒者限定の求人情報もあります。
待遇面では、初任給が20数万円で各種手当、休暇制度、福利厚生などがそろっている求人もあり、その場合一般企業並みの待遇です。
求人数としてはそれほど多くはないため、早い段階から就活活動を始めて、できるだけ多くの求人サイトに登録してこまめに情報をチェックすることが必要です。
新卒で日本語教師になるための就活事情
就活はいつから?
一般企業向けの就職活動と同様に、大学3年の秋ごろからスタートするのがよいでしょう。
国内の日本語学校の多くの求人は、欠員がでた場合に随時募集するのが一般的ですが、新卒者限定の求人や新卒者も応募できる求人もあります。
学校によっては、一般企業と同じように卒業の前年から新卒者の募集を開始する場合もあります。
大学3年の秋ごろから情報収集を始め、自分に合った求人情報を探しておくことが大切です。
求人の探し方は?
新卒の日本語教師としての求人情報は、主に求人サイトを通じて探すことが一般的です。
一般の求人サイトでも日本語教師に関する求人情報が掲載されています。
登録が必要なサイトは早めに登録し、できるだけ多くのサイトをこまめにチェックする習慣をつけましょう。
また、日本語教師養成講座を受講する場合は養成スクールの就職サポートを活用しましょう。
養成講座では、求人サイト等で公開されているもの以外の独自の求人情報や、独自の採用ルートを紹介してもらえる可能性もあります。
採用試験の内容は?
採用要件としては、「大学・大学院での日本語教育課程専攻(副専攻)」「養成講座修了」「検定試験合格」のいずれかを満たさなければならない場合が多いです。
これに加えて、検定試験合格を必須要件としている教育機関も多いため、在学中に検定試験は合格しておきたいところです。
採用試験は、一般企業と同様、履歴書(エントリーシート)の提出と面接があります。
加えて多くの学校で模擬授業が課されます。
このほかに、筆記試験を実施したり、教案の提出を求めるところもあります。
海外の日本語学校等の採用試験については、現地で行われることは少なく、オンラインでの面接があります。
新卒で日本語教師になるための就活ポイント
より多くの求人情報を収集する
就職先を選ぶ際には、幅広い求人情報を集めることが重要です。
日本語教師の求人は様々な媒体で募集されており、求人サイトや大学内のキャリアセンター、養成講座の就職サポートなどを活用して、多角的な情報収集を心がけましょう。
求人サイトについては、日本語教師向けの専門求人サイトと一般の求人サイトがありますが、どちらも活用しましょう。
一般求人サイトも数は少ないものの日本語教師の求人情報があり、このほか日本語教育に関連する思わぬ求人情報に遭遇する可能性もあります。
登録が必要なサイトには早めに登録し、少しでも早くできるだけ多くの情報を収集しましょう。
異なる学校や機関の求人を比較することで、自身の志向や条件に合った選択肢を見つけることができます。
複数の採用試験を受ける
多くの採用試験で求められる面接や模擬授業は、事前の練習が極めて重要です。
ただし、練習を積んでいたにもかかわらず、本番は緊張で実力を発揮できないということもあるかもしれません。
そのため、初めての採用試験が本命というのはできるだけ避けたいポイントです。
複数の採用試験に挑戦することで、本番特有の雰囲気に慣れると同時に、自身の強みや課題をより客観的に見直すきっかけにもなります。
本番の経験を通じて、自分のアピールポイントや改善すべき点を確認し、成長することができるでしょう。
自信をもって本番試験に臨むためには、無理のない範囲で複数の採用試験に挑戦することがおすすめです。
また、日本語教師以外の求人でも、興味があれば挑戦してみてもいいでしょう。
自身のスキルや魅力を最大限に引き出すために、幅広い経験を積むことを意識しましょう。
新卒の強みを活かす
経験者と一緒に受ける場合はもちろん新卒者のみの求人でも、新卒の強みを自覚したうえで、しっかりと自分の魅力をアピールする必要があります。
日本語教師になるにあたっての新卒の強みを3つ解説します。
学生との年齢が近い
日本語学校の留学生の多くは20代の学生です。
教師としては未熟かもしれませんが、学生との年齢が近いことは大きなメリットです。
同じ20代という年齢層であることから、学生からは親近感を持ってもらえるでしょう。
さらに、国籍が異なるとはいえ、若者としての気持ちや価値観を共有しやすいことがあります。
留学生は日本の文化や流行に興味津々で、最新の流行などの若者らしい話題にも敏感です。
そのため、日常会話から最新のトレンドまで、幅広いトピックに対応することができます。
このように、年齢の近さは、教育現場でのコミュニケーションをより深め、学生の信頼関係を築く要素にもなりえるため、新卒者ならではのアピールポイントとなるでしょう。
大学での経験を活かす
日本の大学への留学をめざす学生は多く、日本語教師はそうした学生の進路指導を担当する役割も担います。
国内の日本語学校が大卒者を採用する場合が多いのは、このような背景があるからです。
最新の大学事情や、大学時代の部活動やサークル活動、アルバイト、ボランティア活動などの知識や経験は、生活相談や進路指導においてとても役立ちます。
留学生の興味や疑問に応えることで、信頼関係を築き、適切なアドバイスをすることができます。
また、教員免許も日本語教師にとって有利になる場合があります。
もし、教職課程を取っているのであれば、あきらめずにとっておくと将来のキャリアアップにつながります。
在学中にさまざまなことに挑戦し、充実したキャンパスライフを過ごすことをおすすめします。
柔軟な学習姿勢
経験がまだ少ない新卒者の強みの一つは、こだわりがなく、柔軟な学習姿勢を持っていることです。
経験者にはない柔軟性があり、新たな教育方針や経営方針に対応する能力があります。
この特長を活かして、多様な学生に対応できる教育スタイルを築いていきましょう。
大学在学中に挑戦したいこと
検定試験の勉強をする
大学在学中に日本語教育能力検定試験の合格ができるよう勉強しましょう。
検定試験合格は、日本語教育に関する専門的な知識を持っていることを対外的に証明できる唯一の方法です。
求人の応募要件になっていることも多く、取っておけば就職に有利に働きます。
特に年齢制限はないので、大学在学中に合格しておきましょう。
実践経験を積む
国内にはインターンシップ生を受け入れている日本語学校があります。
インターンシップに参加し、日本語教育の現場を経験することで、具体的に日本語教師の仕事を知ることができます。
国内のインターンシップについては、以下の記事で詳しく解説しています。
また、海外へのインターンシップ制度もあります。
日本語教師のインターンシップ制度としては、国内よりも海外のほうがプログラムが多いため、参加機会が豊富にあります。
将来、海外で日本語を教えたい希望があるなら、在学中に海外インターンシップに参加してみるのもいいでしょう。
インターンシップのほか、在学中にボランティアやアルバイトをすることで日本語教師としての実践経験を積むこともできます。
ボランティアには、大学に留学生別科があれば日本語ボランティアを募集している場合があります。
また、大学や住んでいる地域の日本語教室にボランティアとして参加する方法もあります。
アルバイトで社会経験する
日本語教育関係のアルバイトとしては、オンライン日本語教師があります。
オンライン日本語教師には特に資格は必要ありません。
ボランティアよりはハードルが高いですが、通信環境さえ整っていれば、海外にいる学習者にも教えることができるうえに、バイト収入も入るため挑戦してみてもいいでしょう。
日本語教育以外の一般的なアルバイトも社会経験を積むよい機会です。
アルバイトをすることで、社会人経験がない大学生でも一定の社会人としてのマナーを学ぶことができます。
また、アルバイト先の従業員同士の交流や接客等の経験を通して日本語教師に必要なコミュニケーションスキルを高めることもできます。
さまざまな業種のアルバイトに挑戦し、いろいろな業界を見てみるのも経験の幅が広がり、日本語教師になった際に役に立つでしょう。
語学力を高める
外国語を積極的に学び、語学力を高めましょう。
日本語教師にとっては英語などの外国語の能力は必須ではありませんが、あるにこしたことはありません。
特に海外で働く場合は、必須のスキルになります。
そうでなくても、日本語以外の言語にも興味・関心をもつことは日本語教師にとって必要な姿勢です。
英語に関しては、TOEIC600点以上を最低ラインとして、海外で働くのに必要とされる730点以上を目標にしましょう。
大学では、英語以外に第2外国語を履修します。
英語並みとはいかないまでも真剣に取り組み、検定にも挑戦してみましょう。
大学によってはマイナー言語の授業もあります。
さまざまな言語に触れてみるものいいかもしれません。
語学力を身につけるにはそれなりの時間と労力がかかりますが、社会人になってからではなかなか語学学習の時間が取れません。
大学在学中に語学力を高めることも日本語教師としての可能性を広げる手段になります。
まとめ
以上、新卒で日本語教師をめざすためのポイントについて解説しました。
大学卒業後すぐに新卒で日本語教師になることは決して夢ではありません。
日本語教師としてのキャリアをスタートさせるために、悔いのない就職活動をしましょう。
・日本語教師の需要は今後も拡大すると予想され、新卒の求人も増加することが期待できる。
・新卒から日本語教師になれるチャンスは十分にあり、正社員として採用される可能性もある。
・就職活動は一般的な開始時期と同じ大学3年の秋ごろから始めるべき。
・求人情報はより多くの求人サイトから広くこまめに収集する。
・採用試験は面接と模擬授業の形式が多いが、新卒であることを強みに変えて対策をしていくことがポイント。
・検定試験の勉強、実践経験の積み上げ、語学力の向上、アルバイトなど、さまざまなことに挑戦し充実したキャンパスライフを送れば、よりよい就職活動につながり、日本語教師になってからも役立つ。
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