カンボジアで日本語教師になるには？｜求人の探し方・給料・需要も解説

この記事では、カンボジアで日本語教師として働きたいと思っている方に必要な情報を解説します。

カンボジアは内戦終結後、平和を取り戻し、著しい経済発展を遂げている国です。

日本企業の進出、日本文化の流入等により日本への留学・就職をめざす若者も多く、元来から親日国家でもあるカンボジアは日本語教師にとって非常に働き甲斐のある国ではないでしょうか？

この記事では、そんなカンボジアで日本語教師になろうと考えている方のこんな疑問にお答えします。

カンボジアという国の概要から、必要な資格要件、就労ビザの取得方法、日本語教師の給料事情、就職活動の方法まで、カンボジアで日本語教師として働くために知っておくべきことを詳しく解説します。

興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

カンボジアで日本語教師になるには？

まずは、カンボジアで日本語教師になるために必要な資格・要件について解説します。

カンボジアで働くための主な要件は以下のとおりです。

カンボジアの主な日本語教師勤務要件
学歴要件	大卒以上
日本語教師 資格	・日本語教師養成講座修了 ・大学の日本語教師養成課程を主専攻（副専攻）履修・卒業 ・日本語教育能力検定試験合格
その他 資格・要件	・実務経験 ・語学力（英語・クメール語）
給与目安 （月収）	1,000USドル～

ここでは、カンボジアで日本語教師として働くために必要な就労ビザの取得要件と日本語教師資格について解説します。

就労ビザ

カンボジアで日本語教師として働くためには、Eビザ（業務ビザ）の取得が必要です。

Eビザは、申請日から3か月以内に入国、1か月間有効で、手続きをすれば延長が可能です。

ビザは大使館、領事館での申請や、空港・国境でのアライバルビザ、オンラインでのEビザ申請も可能です。

Eビザの取得に加えて、労働許可証（ワークパーミット）、雇用カード、居住許可も必要です。

これらは通常1年ごとに更新が必要ですが、就労先の雇用主や専門家を通じて手続きを行うことが一般的です。

具体的な申請プロセスや必要書類は時期や個人の状況によって異なる場合があるため、最新の情報を確認することが重要です。

ただ、基本的にはカンボジア企業への就職が決定していれば、ビザ等の取得にあたっては特に学歴・資格・実務経験・収入などの基準はないようです。

就労ビザの審査は流動的で取得要件が急遽変更となる場合もあります。
申請の際には、カンボジア当局や勤務先から最新情報を取得してください。

必要な日本語教師資格・経験

カンボジアの日本語教師としての採用要件は、多くが日本国内の日本語学校等で必要な要件と同等の資格が必要とされています。

なお、大学職員でも学士（四大卒）以上の学歴があれば、修士でなくてもよいケースが多いため、カンボジアは比較的大学への就職のハードルが低いといえます。

このほか、語学力（英語・クメール語）や実務経験があると優遇されるケースもあります。

カンボジアでの日本語教師の需要

カンボジアで日本語教師になるには需要さえあれば、それほど就職に向けたハードルは高くないように思えます。

では、カンボジアにどの程度の需要があるのでしょうか？

最新の調査結果から解説します。

カンボジアの日本語学習者数

カンボジアの日本語学習者数は3,874人（国際交流基金「2021年度 海外日本語教育機関調査」）。

世界第32位、東南アジア諸国のなかでは8番目。

周辺国ではラオスとほぼ同じです。

学習者数としてはそれほど多くはないものの、ラオス同様、近年は増加傾向が続いており、将来の需要の高まりに期待が持てる国です。

多くの学習者が日本への留学や就職をめざして、民間日本語学校や技能実習生送り出し機関で学んでいるため、コロナ禍で日本語教育機関が減少したことに伴い、学習者数は一時的に減少しています。

コロナの影響が薄まりつつあるなか、再び増加に転じることが期待されます。

では、次に日本語教師の状況を見ていきます。

カンボジアの日本語教師数

国際交流基金の調査によると、カンボジアで働く日本語教師は301名（「2021年度 海外日本語教育機関調査」）。

学習者数に比べて教師の数が足りていないのが現状です。

また、日本人教師も少ないため、カンボジア人教師の技術不足も課題となっています。

このため、日本人教師は少ないながら、カンボジア人教師の育成やマネジメントなど、重要な役割を担っています。

近年、日本人教師の割合は25%程度とそれほど大きな変化は見られませんが、今後も学習者の増加が期待されるだけに、日本人教師の需要がどうなっていくのか気になるところです。

カンボジアにおける日本語教師の給料・待遇

カンボジアにおける日本語教師の給与の相場は、月額1,000～1,500USドル程度です。

カンボジア人の平均的な給与と比較するとかなり高給の部類に入ります。

なお、月額1,500USドル以上の求人も散見されます。

待遇面では基本給のほか、賞与支給・有給休暇付与・残業代・住宅手当・医療保険・渡航費用支給などがあるため、求人情報をよくチェックしましょう。

カンボジアの日本語教師求人情報の探し方

カンボジアにおける日本人教師の求人はそれほど多いわけではないため、限られた方法で粘り強く探していく必要があります。

求人情報を見つける方法としては、養成スクールに入ってくる情報と自分で求人サイトで探す方法があります。

アジアの求人を専門とした以下のサイトは過去の求人情報も閲覧できるため、就職活動に役立つサイトです。

https://kamome.asia/	中国やアジアで人材紹介事業を展開する中国法人が運営する日本人向け海外転職サイト。 中国のほかカンボジア、ベトナム、タイなどアジアの求人情報を幅広く取り扱っている。 現地情報や海外転職ノウハウに関するコラムも豊富で、求人情報以外でもアジアへの転職をめざす人にとって参考になる。

以上のほか、日本語教師向けの求人サイトでも掲載される場合があります

以下の関連記事では、日本語教師向けの求人サイトを紹介しています。

カンボジアの日本語教育事情

カンボジアでの日本語教育は、1960年代にクメール王立大学（現王立プノンペン大学）に日本政府派遣教師により始まりましたが、内戦により1974年に中断。

1990年代初めからNGOやボランティアによる教育が再開し、1993年に本格的な日本語教育が復活しました。

その後、プノンペンとシェムリアップで民間学校が多く立ち上がり、2001年には小学校でも取り入れられました。

2005年にはカンボジア初の日本語学科が王立プノンペン大学に設置され、日本語教師会も発足。

一時期機関数や学習者数が減少しましたが、2011年以降、日本企業の進出と共に日本語人材への需要が高まりました。

現在、日本語教育は主に都市部で行われ、経済的自立や技能実習生の送り出しなどの目的で学ぶ人が多いです。

最新の調査（2021年度）の教育段階ごとの学習者数・教師数内訳は以下のとおりです。

上のグラフのように、民間日本語学校や技能実習生送り出し機関などで学ぶ学習者が圧倒的に多い状況です。

ほとんどの学習者は日本への留学・就職を目的としていますが、なかには日本の文化やマンガ・アニメに興味を持ち日本語を学ぶこと自体を目的とした学習者も増えているようです。

特に日本に関する情報に触れやすいプノンペンやシェムリアップなどの大都市でその傾向が顕著で、こうしたところで日本語教育機関が充実しています。

また、シェムリアップには世界的にも有名な世界遺産アンコールワットがあり、日本からの観光客も多いことから、日本語ガイドとして働くために日本語を学ぶ人もいます。

カンボジアってどんな国？

国名	カンボジア王国
首都	プノンペン
人口	1,555万人（2019年、カンボジア計画省統計局）
面積	181,035㎢
気候	熱帯モンスーン気候
通貨	リエル（KHR）　※1USドル＝約4,000リエル
宗教	仏教、イスラム教、キリスト教など
言語	クメール語

歴史

カンボジアの歴史が始まったのは、1世紀ごろに存在した扶南といわれています。

6世紀にヒンドゥー教国家である真臘が建国され、9世紀にはアンコール朝が成立しました。

12世紀には世界遺産で有名な壮大な寺院アンコール・ワットが建設されるなど、アンコール王朝は経済力と文化の影響力において、東南アジアで最も強大な王朝のひとつでした。

15世紀になるとアンコール王朝は徐々に衰退し、16世紀に滅亡。

カンボジアはタイやベトナムといった隣国の影響を強く受けるようになりました。

長く隣国の支配を受けていましたが、19世紀にフランスが進出し保護国化、その後仏領インドシナ連邦に編入されました。

戦時中の日本支配を経て、戦後シアヌーク国王がフランスからの独立を宣言。

1953年に完全独立を達成しました。

しかし、その後のカンボジアは悲劇的な歴史を歩むことになります。

独立後政情が不安定な状態が続くなか、1976年にポル・ポト派が政権を掌握し、数百万人が犠牲となる大量虐殺が行われました。

1991年のパリ和平協定後、カンボジアは国際社会の支援を受けながら徐々に安定を取り戻し、1993年の総選挙の結果、シアヌークを国王とする立憲君主制国家となり民主化への道を歩み始めました。

近年、カンボジアは経済成長を続け、観光業も盛んになっています。

しかし、ポル・ポト時代の地雷の撤去や貧困や汚職など、解決すべき課題も多く残されています。

気候

カンボジアは熱帯モンスーン気候に属し、年間を通して高温多湿。

年平均気温は約27度から30度程度で、1年を通して暑い日が多いです。

カンボジアの気候は、大きく雨季と乾季の2つに分けられます。

雨季は5月から10月までで、年間降水量の約80％がこの時期に降ります。

雨季の間は、毎日のように激しい雨が降り、湿度も高くなります。

乾季は11月から4月までで、降水量が少なく暑い日が続きます。

特に2月から4月にかけては40度近くに達することもあり、暑さ対策が必須です。

通貨

カンボジアの通貨はリエル（KHR）です。

カンボジア国内ではリエルが最も流通していますが、米ドルも広く流通しており、特に都市部や観光地では米ドルがそのまま使える場合もあります。

レートは、1USドル＝約4,000リエル。

為替レートは日々変動しますが、カンボジアではリエルと米ドルが併存しているため、基本的には1ドル＝4,000リエルで広く認知されています。

公用語

カンボジアの公用語はクメール語です。

クメール語には、タイ語やベトナム語のような声調はないため、音の高低で意味が分かれることは基本的にありません。

首都プノンペンやアンコールワットのあるシェムリアップでは英語が通じる場合がありますが、ほとんどの地域では英語は通じません。

クメール語の特徴は、サンスクリット語を起源とした独特のクメール文字です。

観光地を除き、クメール文字で表記されるため、現地での生活にはクメール文字の理解が必要不可欠です。

カンボジアに行く際には、事前にクメール文字を習得しておくことをおすすめします。

まとめ

以上、カンボジアで日本語教師として働くために必要な情報を解説しました。

カンボジアで日本語教師になるにはまず、日本語教師の資格要件を満たす必要があります。

日本語教師としての専門知識を身につけるとともに実践力を鍛えることができる日本語教師養成講座を受講することをおすすめします。