日本留学試験(EJU)とは?|日本語教師の基礎知識(受験資格・科目・平均点など)

日本語教師が知っておくべき基礎知識 日本留学への登竜門 日本留学試験(EJU)について徹底解説

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この記事では、日本留学試験(EJU)について、日本語教師として知っておくべき基礎知識を解説します。

日本留学試験(EJU)は外国人学生が日本の大学・専門学校等の入学のために必要な試験です。

日本の大学等に入学するためには、高度な日本語能力が求められるともに、大学等での学習・研究に必要なアカデミックジャパニーズの習得が求められます。

こうした能力を測るのが日本留学試験で、志望先によっては非常に高い得点が求められるため、日本語教師によるサポートは不可欠です。

このため、日本語教師は指導にあたり、日本留学試験について知っておく必要があります。

そこで、この記事では、日本留学試験について、概要・試験科目・レベルなど、日本語教師として知っておくべき基礎知識を詳しく解説します。

ぜひ 最後までお読みください。

この記事でわかること
  • 日本留学試験とは
  • 日本留学試験の試験科目
  • 日本留学試験の点数算出方法と大学合格レベル目安
  • 日本留学試験の歴史
  • 日本留学試験の需要

なお、日本語教師になるための資格試験については、以下の関連記事をお読みください。

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目次

日本留学試験とは

日本留学試験
日本留学試験(EJU)は、日本の大学(学部)等へ入学を希望する人の、日本語力と基礎学力(理科・総合科目・数学)を測る試験です。EJUの成績は、900以上の学校の入学選考に利用されています。

日本留学試験は、日本での大学進学をめざす非日本語母語話者のための能力試験です。

日本語教育業界では「日留試」と略して呼ばれることも多く、日本語試験で最も普及している日本語能力試験(JLPT)に次ぐ知名度があります。

試験名日本留学試験(EJU)
Examination for Japanese University Admission for International Students
実施機関独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)
実施回数年2回(6月・11月)※国外の場合1回の受験地あり
受験地【国内】主要都市
【海外】アジア13か国(2023年)
試験形式マークシート方式 / 記述式
受験対象主に日本の大学・専門学校等への進学を目的とする外国人学生
公式HPhttps://www.jasso.go.jp/ryugaku/eju/

日本留学試験の概要と目的

日本留学試験は外国人が日本の大学に入学するためにほぼ必須で、アカデミックな日本語能力と基礎学力を測ることを目的としています。

試験は、日本とアジア主要国で年2回実施。

実施主体は独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)で、2002年から行われています。

日本留学試験では、受験者の日本語読解力、聞き取り能力、文法知識、漢字や語彙の理解度を測定し、日本の大学や専門学校での学習に必要な言語能力があるかを評価します。

日本留学試験の受験資格

日本の大学等に入学を希望する外国人留学生であれば、誰でも受験することができます。

年齢や国籍、学力などに関する制限もなく、広く留学を志望する学生に開かれている試験です。

日本留学試験の受験料

日本留学試験の受験料は、受験する科目の数や受験地(国内または国外)によって異なります。

国内の場合、1科目のみ受験する場合は10,000円(税込)、2科目以上は19,000円(税込)です。

一方、国外の場合、各国の通貨で設定されています。

例えばインドでは1,300ルピー、インドネシアでは110,000ルピア、韓国では1科目のみの受験者は50,000ウォン、2科目以上受験する場合は80,000ウォンです。

受験料の詳細については公式サイト等で受験回の試験実施要項を確認する必要があります。

受験料に関しては、試験の実施年度や国によって変更される可能性があるため、最新の情報を確認することが重要です。

日本留学試験(EJU)の試験科目

日本留学試験 試験科目
・日本語(解答時間:125分、解答形式:マークシート・記述、出題言語:日本語)
・理科(解答時間:80分、解答形式:マークシート、出題言語:日本語または英語)※物理・化学・生物から2科目選択
・数学(解答時間:80分、解答形式:マークシート、出題言語:日本語または英語)※「コース1」か「コース2」を選択
・総合科目(解答時間:80分、解答形式:マークシート、出題言語:日本語または英語)

※理科と総合科目は同時受験不可

試験科目は、日本語、理科(物理、化学、生物)、総合科目(日本及び世界に関する問題)、数学の4科目構成。

各科目は受験者が志望する大学や学部の入学要件に基づいて選択します。

なお、理科は必ず2科目を選択しなければなりません。

また、理科と総合科目は同時に受験することはできません。

日本留学試験には1級や2級といった等級制度はなくスコアで成績が出るため、試験内容は同一。

解答形式は、日本語のみ記述式問題がありますが、このほかはすべてマークシート方式。

出題言語は原則日本語ですが、日本語科目以外の科目は英語での受験も可能です。

では、各科目について解説していきます。

日本留学試験|日本語

日本語科目は、留学生が日本の大学での学習に必要な日本語能力を測るための科目です。

読解、聴解、文法、語彙など、実用的な日本語使用能力が問われます。

試験は大きく分けて、「記述」「読解」「聴解・聴読解」の3領域。

アカデミックな場面で必要とされる言語能力を評価し、留学生が日本での教育を十分に受けられるかの判断材料となります。

日常的なコミュニケーション能力を超えた、アカデミックな場面で求められる日本語の理解と使用能力を高めることが必要です。

多読による読解力の向上、ニュースや学術的な内容を含むリスニング教材での聴解力強化が対策ポイント。

幅広い文法と語彙の知識が求められます。

日本留学試験|理科

理科は物理、化学、生物の3科目構成で、2科目を選択します。

1科目のみの受験は認められません。

日本の大学等での理系分野の学習に必要な基礎学力を測ります。

日本留学試験の理科の問題レベルは、日本の大学入学共通テスト(旧センター試験)と同等か、それに近いレベルを想定していると考えられます。

具体的には、高校レベルの基礎的な理科の知識と理解、及びそれらを用いた問題解決能力が求められます。

必要なのは基本的な概念や原理の徹底的な理解と、それらを用いた問題解決能力の向上。

物理、化学、生物それぞれの分野で高校レベルの内容をしっかりと習得し、問題集と過去問を多く解くことで、知識の定着と応用力を養うことが重要です。

日本留学試験|数学

数学では、日本の大学での学習に必要な数学の基礎学力を測定します。

「コース1」と「コース2」の2つのレベルがあり、どちらかを選択して解答します。

「コース1」は基礎的な数学能力を問うもので、主に文系学部を目指す学生向け、「コース2」はより高度な数学能力を測るもので、理系学部を目指す学生向けです。

志望大学の学部や学科の入試要件に合わせて選択する必要があります。

試験問題は理科と同様に、大学入学共通テスト(旧大学入試センター試験)と同等のレベルを想定して作問されているようです。

「コース1」は大学入学共通テストの数学Ⅰ・Aの内容が中心で、「数と式」「確率」「2次関数」などが出題されます。

「コース2」は大学入学共通テストの数学Ⅱ・Bの内容が中心で、「三角関数」「複素数」「対数」「ベクトル」などが出題されます。

過去問を見るとわかりますが、見た目は大学入学共通テストにかなり似た作りです。

日本留学試験|総合科目

総合科目は文系の基礎学力を測る科目で、社会科学と人文科学の幅広い分野から出題されます。

範囲としては、日本の高校では「地理歴史・公民」にあたります。

ただし、日本留学試験は外国人留学生のための試験であるため、文化的背景や教育システムの違いを考慮した出題がされているようです。

このため、どちらかといえば、現代のグローバルな視点に関する問題が多くなっています。

例えば、現代の世界的な社会問題や現代の経済政策、歴史に至っては近現代史が出題されます。

また、日本に関する問題も散見され、日本国憲法や日本地理、日本の戦後史などが出題されます。

​知識量がものを言う科目なので、できるだけ多くの問題にあたることが重要です。

日本留学試験(EJU)の点数算出方法と合格レベル目安

日本留学試験 各科目配点
・日本語:450点(読解:200点、聴解・聴読解:200点、記述:50点)
・理科:200点(1科目200点 ※物理・化学・生物から2科目選択)
・数学:200点 ※「コース1」か「コース2」を選択
・総合科目:200点

日本留学試験の点数は、素点ではなく尺度点に換算して表します。

尺度点とは、欧米諸国の試験で一般的な統計理論に基づく得点等化という方法で算出された点数。

得点等化により、受験回ごとの難易度の違いによる点差を極力小さくすることができます。

この方法は、TOEICや日本語能力試験(JLPT)でも採用されています。

ただし、日本語の記述問題は例外で、採点基準に従い、「0点、10点、20点、25点、30点、35点、40点、45点、50点」で得点を出します。

平均点は各科目ともおおむね60%前後で、数学のみ50%前後で推移しています。

過去の実施結果は、JASSO公式サイトで確認できます。

各大学の合否は日本留学試験と大学独自の試験結果により決まります。

日本留学試験の得点の目安としては、東大・一橋大学などの難関国立大学で各科目9割程度、早大・慶大・上智大などの難関私立大学で各科目8.5割程度が必要とされています。

このほか、外国で受験して来日前に合否結果がわかる「渡航前入学許可制度」を導入している大学等もあり、これらの合格目安はJASSO公式サイトで公表されています。

日本留学試験(EJU)の歴史

2002年に第1回試験が行われた日本留学試験ですが、試験創設の歴史は1983年までさかのぼります。

1983年に日本政府が掲げた「留学生10万人計画」のもと、日本は留学生の受け入れを大幅に増加。

一方で、多くの優秀な留学生を日本に惹きつけるため、入学選考の手続きや学習支援体制などの改善が求められていました。

特に、入学選考は留学生が直面する最初の大きなハードルであり、従来の試験制度には、欧米と比較して分かりづらく、留学希望者に過度な負担を強いるという問題がありました。

このような背景から、より公平で分かりやすい新しい試験制度の開発が進められ、日本留学試験(EJU)の創設につながりました。

今後より多くの優秀な留学生を日本に招き入れるため、渡航前入学許可制度の活用促進、アカデミックジャパニーズに特化した日本語教育の普及が求められています。

日本留学試験(EJU)の需要

日本留学試験受験者数の推移(出典:JASSO公式サイト

日本留学試験の受験者数は2万人前後で推移しており、コロナ禍前は3万人を超えることもありました。

コロナ後はまだ受験者数が安定していないものの、円安等の影響もあり、再び受験者数が増加に転じることが考えられます。

また、国外受験者数は以前と比較すると明らかに増加傾向にあります。

日本語教育の需要が高まるなか、渡航前入学許可制度の利用促進や国外受験会場の増設など、より多くの学生が国外で受験できる体制の整備が急がれます。

まとめ

日本留学試験(EJU)は、日本の大学等への入学を希望する外国人学生にとって非常に重要な試験です。

志望大学によっては非常に高い得点が求められます。

特に日本語科目は、他科目と異なり、日本語教師のサポートが必要不可欠です。

だからこそ、日本語教師には単に日本語の文型や会話表現を教えるだけでなく、日本留学試験の対策指導も行えるスキルが求められるのです。

日本語教師として日本留学試験にも関心を向け、学生の夢を後押ししましょう。

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