日本語教師として働くための資格である日本語教育能力検定試験の概要・難易度・メリットについて解説します。
日本語教育に興味のある人なら1度は聞いたことがある日本語教育能力検定試験。日本語教師として実践に必要な基礎的な知識と能力を測るための試験です。
「基礎的」というからにはそれほど難しくないのでは?
そう思った方に残念なお知らせです。はっきり言って、難しいです。
「難しい」の感じ方は人それぞれですし、土台となるバックグラウンドや受験歴にもよりますが、合格にはしっかりとした準備と覚悟が必要です。
しかし、だからこそ、合格すれば日本語教師としての専門知識が身につくことはもちろん、合格することによるさまざまなメリットを享受することができます。
また、一般的な知名度はそれほど高くはありませんが、業界内では「検定試験」と呼ばれ、圧倒的な知名度と信頼度を誇る試験でもあります。
現役の日本語教師、これから日本語教師をめざす人…日本語教育に携わる人なら必ずとっておきたい日本語教育能力検定試験について、令和5年度試験の最新情報も含めて解説します。
- 検定試験の難易度・合格率・合格ラインは? 一発合格は可能?
- 検定試験合格のメリットは?
- 日本語教育能力検定試験の内容とは?
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日本語教育能力検定試験の難易度は?
日本語教育能力検定試験の2024年度の最新基本情報は以下のとおりです。
| 主催 | 公益財団法人 日本語国際教育支援協会 |
| 試験日 | 2024年10月27日(日) 9:00~16:40 |
| 出願期間 | 2024年7月1日(月)~7月31日(水) ※オンラインのみ |
| 受験料 | 17,000円(税込) |
| 試験地 | 北海道 、東北、関東、 中部、 近畿、中国、九州 ※変更の場合あり |
| 合否結果通知 | 2024年12月20日(金)(予定) |
以下、日本語教育能力検定試験の難易度について解説していきます。
検定試験の合格率・合格ラインは?
検定試験ホームページで合格率が公表されています。過去の合格状況を見てみましょう。
| 年度 | 全科目受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 6,801 | 1,937 | 28.5 % |
| 2019年度 | 9,380 | 2,659 | 28.3 % |
| 2020年度 | 9,033 | 2,613 | 28.9 % |
| 2021年度 | 8,269 | 2,465 | 29.8 % |
| 2022年度 | 7,054 | 2,182 | 30.9 % |
| 2023年度 | 8,211 | 2,542 | 31.0% |
※合格率は小数点第2位以下四捨五入
合格率(全科目受験者に対する合格者の割合)は、例年30%前後で推移しており、2023年度は31%でした。
過去には20%前後の合格率だった年もありましたが、近年は上昇傾向にあります。
ただし、依然として3人に2人以上は不合格になってしまう合格率のため、決して楽に合格できる難易度とは言えないでしょう。
なお、合格ラインの点数については公表されていません。
2023年度の全科目受験者の平均点は167.9点(約70%)だったため、目安として8割以上の得点が欲しいですね。
実質的な難易度はどのくらい?
合格率30%というと大体受験者の3人に1人程度が合格するという計算になりますが、実際にはどの程度難しいものなのでしょうか。
かなりの演習量が必要
先述したように試験の出題範囲はかなり広く、習得しなければならない知識の量だけでも膨大です。
また、試験は3部構成ではあるものの、広い範囲のなかから分野横断的に出題されるうえ、出題形式(筆記・聴解)と回答形式(マーク式・記述式)もバリエーションがあるため、これらに対応しうる絶対的な演習量が必要です。
勉強時間の目安としては、200~300時間程度は必要といわれています。
たとえば、3か月間毎日勉強するとした場合1日3時間以上勉強しなければならない計算になります。
片手間な勉強だけでは決して合格できるものではないことが、検定試験の難易度を高くしているといえるでしょう。
全体の受験者層のレベルが高め
日本語教育能力検定試験はだれでも受験できるとはいえ、一般的な知名度は高くありません。
メジャーな試験であれば、「関心はないけどとりあえず受けてみる」層も一定数存在しますが、検定試験については、多くの受験者が現役の日本語教師や養成講座受講生などで、少なくとも日本語教育に関心がある人たちだと考えられます。
過去に受験歴がある受験者もかなりいるため、受験者全体のレベルはメジャーな試験と比べて高めと考えるべきでしょう。
合格するためには体力も必要!?
なんといっても本番試験の試験時間はトータル4時間という長丁場です。
ほぼ1日がかりの試験となり、集中力を持続させるのが大変です。
特に試験Ⅱの聴解試験は聞き逃してしまうと即失点につながってしまうため、30分間集中を切らすことができません。
検定試験に合格するためには、膨大な知識の習得だけではなく、本番当日の試験に耐えられる集中力と体力も必要で、最後まであきらめずに問題を解いていけるかが合格のカギになりそうです。
一発合格は可能?
一発合格は十分可能です。
2023年度試験の全科目受験者数の回数別受験者数を見てみると、8,211人の受験者のなかで1回目の受験者数は5,636人と全体の約69%を占めています。
受験回数別の合格者数は公表されていませんが、全体の合格率が31%というところからすると、2回目以降の受験者のほぼ全員が合格しているとも考えられません。
このため、1回目の受験者でも十分に合格できる可能性があるといえるでしょう。
検定試験合格のメリットは?

ここまでで検定試験の合格がどれほど難しいかがお分かりいただけたかと思います。
ただ、これだけの難しい試験を合格してもメリットがなければ受験する意味がありませんよね。
以下、検定試験合格のメリットについて解説していきます。
法務省告示校で教える資格が得られる
法務省からの許可を受けた、海外からの留学生を受け入れる日本語学校(法務省告示校)で働く資格を得ることができます。
また、日本語教師養成講座を修了した人で大卒資格がない場合は、検定試験に合格することで同様の資格を得ることができます。
国内で留学生を受け入れている日本語学校は、全国に多数あります。
今後も海外からの留学生が増加する見込みのため、就職の幅がかなり広がるといっていいでしょう。
専門的な知識があることを対外的に証明できる
日本語教師という職業は活動する場所を選ばなければ特に資格は必要ありませんが、就職先の採用要件に検定試験合格が課されている場合があります。
法務省告示校の日本語学校でも養成講座修了に加えて検定試験合格も求められる場合が多いです。
また、採用要件になくても、検定試験合格という資格は、難易度の高い試験を合格し、日本語教育に関する専門的な知識を有していることを対外的に証明できる唯一の方法です。
活躍の場を探す際にとても大きなアピールポイントになることは間違いないでしょう。
待遇面の優遇を受けられる可能性がある
検定試験合格という資格は、採用面において有利に働くことはもちろん、待遇面でも優遇される場合があります。
学校によっては、給与面で検定試験の合格者には特別手当が支給されるというような場合もあるようです。
このほか、業務面でも、専門的な知識を活用できる業務を任されることもあるでしょう。
検定試験に合格し、就職活動をする際には、こうした待遇面も併せて確認しておくとよいでししょう。
日本語教育能力検定試験ってどんな試験?
日本語教育能力検定試験は、公益財団法人日本国際教育支援協会が実施する、日本語教師としての能力が一定の水準に達しているかを測る試験です。
正式な国家試験ではありませんが、文化庁や日本語教育学会等が後援している格式と信頼のある試験です。
この試験に合格すると、日本語教師として、海外からの留学生を受け入れている国内の日本語学校(法務省告示校)で働く資格を得ることができます。
チャンスは年に1回だけ!?
試験は年に1回、例年10月に行われます。チャンスは年に1回のみです!
2024年度の試験日は、10月27日(日)です。
受験料は17,000円(税込)。
出願期間は2024年7月1日(月)から7月31日(水)までで、出願方法はオンラインのみなので、受験を予定している人は、公式ホームページから期間内に忘れず申し込みしましょう。
試験会場は、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・九州の各地方にある大学などです。最新情報は、公式ホームページで確認しましょう。
誰でも受験できる!
受験資格は特に制限がないため、だれでも受験することができます。
試験レベルと判定方法は?
試験のレベルは、日本語教育に携わるにあたり必要とされる基礎的な知識・能力に達しているか否かです。
判定は、合格か不合格かのどちらかで、1級2級といった等級はありません。
試験の構成は?
試験の構成については、検定試験のホームページにおいて以下のように公表されています。
| 試験Ⅰ | 90分 | 100点 | 原則として、出題範囲の区分ごとの設問により、日本語教育の実践につながる基礎的な知識を測定する。 |
| 試験Ⅱ | 30分 | 40点 | 試験Ⅰで求められる「基礎的な知識」および試験Ⅲで求められる「基礎的な問題解決能力」について、音声を媒体とした出題形式で測定する。 |
| 試験Ⅲ | 120分 | 100点 | 原則として出題範囲の区分横断的な設問により、熟練した日本語教員の有する現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定する。 |
問題形式としては、すべて筆記試験で行われます。
試験Ⅰはマークシート方式の設問、試験Ⅱはマークシート方式の聴解試験、試験Ⅲはマークシート方式に加え、記述式(400字程度)問題も1題出題されます。
試験時間は合計4時間。これを1日かけて行います。
構成としては3部構成ですが、どの部も総合的な日本語教育の専門知識が問われるといってよいでしょう。
出題範囲は?
出題範囲は、文化庁が日本語教師の養成について示した「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改訂版」(平成 31 年)における「必須の教育内容」に準じています。
出題範囲を見てみると、かなり広範な分野から出題される可能性があることがわかります。
以下が、主催団体が発表している出題範囲です。ただし、全範囲から出題されるとは限りません。
| 区 分 | 主 要 項 目 | |
| 社会・文化・地域 | ①世界と日本 | (1) 世界と日本の社会と文化 |
| ②異文化接触 | (2) 日本の在留外国人施策 | |
| (3) 多文化共生 (地域社会における共生) | ||
| ③日本語教育の歴史と現状 | (4) 日本語教育史 | |
| (5) 言語政策 | ||
| (6) 日本語の試験 | ||
| (7) 世界と日本の日本語教育事情 | ||
| 言語と社会 | ④言語と社会の関係 | (8) 社会言語学 |
| (9) 言語政策と「ことば」 | ||
| ⑤言語使用と社会 | (10) コミュニケーションストラテジー | |
| (11) 待遇・敬意表現 | ||
| (12) 言語・非言語行動 | ||
| ⑥異文化コミュニケーションと社会 | (13) 多文化・多言語主義 | |
| 言語と心理 | ⑦言語理解の過程 | (14) 談話理解 |
| (15) 言語学習 | ||
| ⑧言語習得・発達 | (16) 習得過程 (第一言語・第二言語) | |
| (17) 学習ストラテジー | ||
| ⑨異文化理解と心理 | (18) 異文化受容・適応 | |
| (19) 日本語の学習・教育の情意的側面 | ||
| 言語と教育 | ⑩言語教育法・実習 | (20) 日本語教師の資質・能力 |
| (21) 日本語教育プログラムの理解と実践 | ||
| (22) 教室・言語環境の設定 | ||
| (23) コースデザイン | ||
| (24) 教授法 | ||
| (25) 教材分析・作成・開発 | ||
| (26) 評価法 | ||
| (27) 授業計画 | ||
| (28) 教育実習 | ||
| (29) 中間言語分析 | ||
| (30) 授業分析・自己点検能力 | ||
| (31) 目的・対象別日本語教育法 | ||
| ⑪異文化間教育とコミュニケーション教育 | (32) 異文化間教育 | |
| (33) 異文化コミュニケーション | ||
| (34) コミュニケーション教育 | ||
| ⑫言語教育と情報 | (35) 日本語教育とICT | |
| (36) 著作権 | ||
| 言語 | ⑬言語の構造一般 | (37) 一般言語学 |
| (38) 対照言語学 | ||
| ⑭日本語の構造 | (39) 日本語教育のための日本語分析 | |
| (40) 日本語教育のための音韻・音声体系 | ||
| (41) 日本語教育のための文字と表記 | ||
| (42) 日本語教育のための形態・語彙体系 | ||
| (43) 日本語教育のための文法体系 | ||
| (44) 日本語教育のための意味体系 | ||
| (45) 日本語教育のための語用論的規範 | ||
| ⑮言語研究 | ||
| ⑯コミュニケーション能力 | (46) 受容・理解能力 | |
| (47) 言語運用能力 | ||
| (48) 社会文化能力 | ||
| (49) 対人関係能力 | ||
| (50) 異文化調整能力 | ||
まとめ
以上、日本語教育能力検定試験の難易度とメリットについて解説してきました。
検定試験は、日本語教師として活動するうえで非常に重要な資格試験です。専門性が求められる職業だけに、検定試験の難易度も高めですが、合格すればそれだけのメリットを得ることができます。
試験の難易度や合格ラインも気になりますが、あまり気にしすぎるとモチベーションの低下につながる場合もあります。
しっかりと対策をすれば十分に合格できる試験なので、最後まであきらめず日々取り組んでいきましょう。
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