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2024年4月から始まった日本語教師の国家試験「日本語教員試験」について、最新情報を解説します。
あなたは「日本語教員試験」についてどの程度理解していますか?
日本語教員試験はこれから日本語教師をめざす方はもちろん、現役日本語教師にも関わるとても重要な試験です。
この記事では、2024年度から新設された日本語教師の国家試験「日本語教員試験」について、最新情報を徹底的に解説していきます!
この記事を読んで、日本語教員試験に対する関心を高め、早め早めの対策を考えていきましょう。
- 日本語教員試験の概要
- 日程・会場・受験資格・出願時期・出願方法
- 受験料
- 試験形式・試験時間・試験内容
- 免除要件(現役日本語教師・養成講座修了生の要件とは)
- 合格基準・難易度
- 日本語教員試験と日本語教育能力検定試験との比較
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【2024年度試験概要発表】日本語教員試験の日程・会場・内容まとめ
日本語教師の国家資格取得に必要な国家試験「日本語教員試験」の概要が公表されました。
第1回の2024年度試験の概要は、以下のとおりです。
2024年度日本語教員試験 概要 | |
---|---|
出願期間 | 2024年8月1日(木)〜9月6日(金) |
試験日 | 2024年11月17日(日) |
会場 | 全国8都市 (札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、沖縄) |
受験料 | 通常:18,900円 基礎試験免除:17,300円 基礎・応用試験免除:5,900円 |
合格発表 | 2024年12月20日(金) |
それでは、このあと、日本語教員試験について、詳しく解説していきます。
令和6年度(2024年度)日本語教員試験は終了しました。令和7年度以降の日程等については未定です。
日本語教員試験ってどんな試験?
日本語教員試験は2024年4月からの「日本語教師の国家資格化」に関する新制度の開始に伴い、創設された日本語教師の国家試験です。
新制度では、留学生を受け入れる「認定日本語教育機関」(国内の日本語学校等)で働くには、「登録日本語教員」の資格が必須要件で、原則として、この試験に合格することが求められます。
日本語教員試験は筆記試験で、おおまかな試験内容は以下のとおりです。
日本語教員試験 | 内容 |
---|---|
筆記試験① (基礎) | 日本語教育に関する基礎的な知識・技能を測る |
筆記試験② (応用) | 基礎的な知識・技能を活用した問題解決能力を測る |
筆記試験は基礎と応用の2段構成。
試験の日程、会場についてはすでに公表されています。
しかし、まだ開催実績がないため、情報が少なく、過去問もありません。
このため、日本語教員試験に対して不安を持つ日本語教師や養成講座受王政も少なくありません。
このあと、公表されている情報のなかから、できるだけ詳しく最新の情報を解説します。
なお、日本語教師の国家資格所持者「登録日本語教員」についてもっと詳しく知りたい方は、以下の関連記事をお読みください。
【日本語教師の国家試験】日本語教員試験はいつ? どこで受けられる?
第1回本試験は2024年11月17日(日)の予定です。
受験会場は、全国8都市。
出願時にエリアを指定することができます。
会場は以下のとおりです。
会場 | 都市 |
---|---|
北海道 | 札幌市 |
東北地方 | 仙台市 |
関東地方 | 東京(4会場) |
中部地方 | 名古屋市 |
近畿地方 | 堺市 |
中国・四国地方 | 広島市 |
九州地方 | 福岡市 |
沖縄県 | 宜野湾市 |
基本的には1都市1か所ですが、東京のみ4か所設置されます。
なお、10月27日(日)に実施される日本語教育能力検定試験とは会場が異なります。
特に、中国・四国地方は、検定試験では例年岡山市ですが、日本語教員試験では広島市が会場になっているため、注意が必要です。
また、日本語教員試験では、沖縄会場も設置されることになりました。
日本語教育能力検定試験と混同しがちなので、試験が行われる会場をよく確認しましょう。
日本語教員試験の受験資格は? 出願方法・時期は?
受験資格として特段の資格要件は設けられていません。
年齢・学歴・国籍等にかかわらず、誰でも受験することができます。
出願方法はオンラインのみ。
出願期間は、2024年8月1日(木)から9月6日(金)まで。
ただし、出願手続きのタイミングはギリギリにならないよう気をつけましょう。
出願手続きの一部はオンラインで可能ですが、受験料の支払方法が収入印紙を郵送する方法のみで、かつ出願期間中の消印が必要です。
支払いにクレジットカードなどの電子決済は利用できません。
出願手続きのすべてがオンラインで完結しない仕組みのため、日程に余裕を持って出願手続きを済ませましょう。
出願手続きは、日本語教員試験公式サイトからオンラインで可能です。
日本語教員試験の受験料はいくら?
日本語教員試験を受験するには、受験料の支払いが必要です。
受験料は、受験パターンによって異なり、以下の3種類があります。
日本語教員試験 受験料 | |
---|---|
全部受験 | 18,900円 |
基礎試験免除 | 17,300円 |
基礎試験・応用試験免除 | 5,900円 |
日本語教育能力検定試験が17,000円(2023年度)であることから、おおよそ妥当な金額なのではないかと思われます。
なお、詳しい免除要件については「現職日本語教師はどうなる? 試験の免除要件は?」で後述します。
日本語教員試験の形式・試験時間・問題数は?
試験はすべて筆記試験で行われ、多肢選択式(マークシート方式)が採用されます。
応用試験では、聴解試験も課されます。
なお、日本語教育能力検定試験にあるような記述式問題は出題されません。
試験時間・出題数は以下のとおりです。
日本語教員試験の内容 | |||
---|---|---|---|
基礎試験 | 120分 | 100問 | |
応用試験 | 聴解 | 50分 | 50問 |
読解 | 100分 | 60問 | |
合計 | 270分 | 210問 |
試験時間も問題数もかなりのボリュームで、ほぼ1日がかりの試験ですね。
全部受験の場合、本番試験に耐えうる知識量・集中力・体力が必要なタフな試験になるでしょう。
日本語教員試験ではどんな内容が出題される?
試験問題は、「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」(令和6年3月18日中央教育審議会生涯学習分科会日本語教育部会決定)で示された「必須の教育内容」に基づいて出題されます。
「必須の教育内容」とは日本語教師として不可欠な知識・技能を示したもので、3領域5区分50項目。
内容は以下を参考にしてください。
参考:「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」における「必須の教育内容」
区分・主要項目 | ||
---|---|---|
社会・文化・地域 | ①世界と日本 | (1)世界と日本の社会と文化 |
②異文化接触 | (2)日本の在留外国人施策 | |
(3)多文化共生 (地域社会における共生) | ||
③日本語教育の歴史と現状 | (4)日本語教育史 | |
(5)言語政策 | ||
(6)日本語の試験 | ||
(7)世界と日本の日本語教育事情 | ||
言語と社会 | ④言語と社会の関係 | (8)社会言語学 |
(9)言語政策と「ことば」 | ||
⑤言語使用と社会 | (10)コミュニケーションストラテジー | |
(11)待遇・敬意表現 | ||
(12)言語・非言語行動 | ||
⑥異文化コミュニケーションと社会 | (13)多文化・多言語主義 | |
言語と心理 | ⑦言語理解の過程 | (14)談話理解 |
(15)言語学習 | ||
⑧言語習得・発達 | (16)習得過程 (第一言語・第二言語) | |
(17)学習ストラテジー | ||
⑨異文化理解と心理 | (18)異文化受容・適応 | |
(19)日本語の学習・教育の情意的側面 | ||
言語と教育 | ⑩言語教育法・実習 | (20)日本語教師の資質・能力 |
(21)日本語教育プログラムの理解と実践 | ||
(22)教室・言語環境の設定 | ||
(23)コースデザイン | ||
(24)教授法 | ||
(25)教材分析・作成・開発 | ||
(26)評価法 | ||
(27)授業計画 | ||
(28)教育実習 | ||
(29)中間言語分析 | ||
(30)授業分析・自己点検能力 | ||
(31)目的・対象別日本語教育法 | ||
⑪異文化間教育とコミュニケーション教育 | (32)異文化間教育 | |
(33)異文化コミュニケーション | ||
(34)コミュニケーション教育 | ||
⑫言語教育と情報 | (35)日本語教育とICT | |
(36)著作権 | ||
言語 | ⑬言語の構造一般 | (37)一般言語学 |
(38)対照言語学 | ||
⑭日本語の構造 | (39)日本語教育のための日本語分析 | |
(40)日本語教育のための音韻・音声体系 | ||
(41)日本語教育のための文字と表記 | ||
(42)日本語教育のための形態・語彙体系 | ||
(43)日本語教育のための文法体系 | ||
(44)日本語教育のための意味体系 | ||
(45)日本語教育のための語用論的規範 | ||
⑮言語研究 | ||
⑯コミュニケーション能力 | (46)受容・理解能力 | |
(47)言語運用能力 | ||
(48)社会文化能力 | ||
(49)対人関係能力 | ||
(50)異文化調整能力 |
ただ、これを見ても、何の知識・スキルが必要なのかいまいちわからないという方もいるでしょう。
試験の出題内容だけに関していえば、基本的に日本語教育能力検定試験と変わりません。
日本語教員試験においても日本語教育に関する幅広い知識が求められるといえそうです。
試験は、基礎試験と応用試験に分けて行われます。
それぞれ解説します。
試験①(基礎試験)の試験内容は?
試験①では「必須の教育内容」の範囲から基礎的な知識・技術を問う問題が網羅的に出題されます。
試行試験では、以下のとおり5区分ごとの出題割合が示されています。
言語としての日本語に関する知識と授業に直結する教授法に関わる分野に比重が置かれているのがわかりますね。
区分 | 出題割合 |
---|---|
(1)社会・文化・地域 | 約1〜2割 |
(2)言語と社会 | 約1割 |
(3)言語と心理 | 約1割 |
(4)言語と教育(教育実習を除く) | 約3〜4割 |
(5)言語 | 約3割 |
試験②(応用試験)の試験内容は?
試験②では基礎的な知識・技術を用いた問題解決能力を測る問題が出題されます。
「必須の教育内容」の各区分を超え、実践に即した分野横断的な問題に加えて、学習者の発音や授業でのやりとりなどの音声を用いた、聴解試験も含まれます。
なお、試験②は「聴解試験」と「読解」の2つのパートに分けて実施されます。
応用試験では、「必須の教育内容」の区分を超えて出題されるため、出題割合は明らかになっていません。
このため、試験対策においても、ヤマを張ることはせず、できるだけ不得意分野をなくす努力が必要です。
現職日本語教師はどうなる? 試験の免除要件は?
ここでは、日本語教員試験の免除要件について、以下の表にまとめました。
なお、ピンク色の部分は、経過措置期間(2024年4月から5年間、※は10年間)のみの免除規定です。
経過措置期間経過後は、たとえ現職日本語教師であっても受験は必須になります。
ルート | 基礎 試験 | 応用 試験 | 講習 | 実践 研修 |
---|---|---|---|---|
無資格者 | 【試験ルート】||||
養成課程修了 (登録日本語教員養成機関) | 【養成機関ルート】||||
養成課程修了 (登録日本語教員養成機関+ 登録実践研修機関) | 【養成機関ルート】||||
【経過措置Cルート】 「必須の教育内容」 養成課程修了+大卒以上 | ||||
【経過措置Dルート】 現職日本語教師 (養成課程修了+大卒以上) | ||||
【経過措置Eルート】 現職日本語教師 (検定試験合格者) | ||||
【経過措置Fルート】 現職日本語教師 (無資格者) |
現職かどうかにかかわらず、無資格者は基礎試験・応用試験ともに必須です。
なお、応用試験に不合格でも基礎試験に合格すれば、次回以降一定期間基礎試験が免除されます。
また、養成課程修了者(予定者含む)と日本語教育能力検定試験合格者は、基礎試験が免除。
つまり、応用試験まで免除になるのは、現職日本語教師かつ検定試験合格者のみです。
ただし、この場合でも免除措置を受けるための出願と受験料(5,900円)の納入が必要です。
日本語教師の国家資格を取得するためには、すべての人が、日本語教員試験に出願する必要があるので、注意しましょう。
なお、「現職日本語教師」とは、「2019年4月から2029年3月までに法務省告示機関等で1年以上の経験者」と定義されています。
現職日本語教師の経過措置対応については、日本語教員試験の免除に加えて、講習の受講要件もあります。
講習の中身や現職者への対応に対する最新の状況は、以下の関連記事で詳しく解説しています。
日本語教員試験の合格基準は?
本試験の合格基準は以下のとおりです。
試験①(基礎試験) | 5区分の各区分で6割かつ総合得点で8割以上 |
---|---|
試験②(応用試験) | 総合得点で6割以上 |
基礎試験では総合得点だけでなく、区分ごとの基準も設けられていて、合格基準としてはかなり厳し目ですね。
日本語教育に関する専門知識をまんべんなく備えていることが求められます。
日本語教育の現場ではあまり使わないバックグラウンドの知識も漏れなく習得するがあるため、現職者でもしっかりとした試験対策が必要です。
難易度は?|日本語教育能力検定試験と比較してみた!
これまで解説してきた各項目について、現行の日本語教育能力検定試験と比較してみました。
【現行】 日本語教育能力検定試験 | 【2024年〜】 日本語教員試験 | |
---|---|---|
試験 回数 | 年1回 | 年1回 |
試験 日程 | 10月 | 11月 |
受験料 | 17,000円 | 18,900円 |
試験 時間 | 240分 (90分 / 30分 / 120分) | 270分 (120分 / 50分 / 100分) |
出題 範囲 | 「必須の教育内容」 | 「必須の教育内容」 |
出題数 | 220問+記述問題 (100問 / 40問 / 80問+記述) | 210問 (100問 / 50問 / 60問) |
回答 形式 | 選択式 / 記述式 | 選択式 |
合格 基準 | 7割程度? | 【基礎】8割※各区分6割 【応用】6割 |
合格率 | 30.9%(2022年度) | ? |
両試験を比較してみても、試験の性格としてはかなり似ていますね。
違いを見つけるとすれば、新試験は「試験時間が30分長い」「問題数が10問少ない」「記述式問題がない」の3点。
とすると、新試験の合格率も30%程度と難易度は高めになることが予想されます。
ただ、日本語教師が不足している一方で今後も需要が増加すると言われているなかで、「登録日本語教員の数が確保できるのか」という懸念を指摘する声もあります。
新試験の合格基準は厳し目に設定されていますが、状況によっては調整が入る可能性もあります。
ただ、いずれにしても「簡単ではない」ことは確かです。
今は不確定要素が多いですが、試験に向けての準備は早ければ早いほどよいということは確かでしょう。
日本語教員試験|最新状況 まとめ
・日本語教員試験は認定日本語教育機関で働ける登録日本語教員になるための試験。
・第1回試験は2024年11月17日(日)・全国8都市で実施・オンライン出願
・受験料は18,900円(全部受験)/ 17,300円(基礎試験免除)/ 5,900円(基礎・応用試験免除)。
・試験方式は多肢選択式(マーク式)で、基礎試験と応用試験の2段構成。
・合格ラインは基礎試験が8割、応用試験が6割以上の得点
・試験の性格は日本語教育能力検定試験とかなり似ている。
以上、2024年度開始の新試験「日本語教員試験」の最新状況も含め解説してきました。
日本語教員試験については、未定の部分もまだ多いですが、しっかりとした情報収集と早めの対策が必要です。
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