登録日本語教員の資格取得をめざすうえで、避けて通れないのが「実践研修」です。
基礎試験や応用試験に合格したあと、実際にどのような研修を受けるのか、期間や費用はどれくらいかかるのか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
実践研修は、制度上の要件であると同時に、日本語教師として教壇に立つための重要なステップでもあります。
この記事では、実践研修の制度概要、受講条件、期間・費用、研修機関の選び方を紹介。
登録日本語教員私が試験ルートで実際に受講した体験も交えながら、実践研修の全体像をわかりやすく解説します。
これから実践研修を受ける方も、まだ受講時期を迷っている方も、この記事を通して具体的なイメージをつかんでいただければ幸いです。
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登録日本語教員における実践研修とは?


実践研修とは、登録日本語教員として必要な実践的技能を養成するための演習型研修です。
国家資格の取得要件として、日本語教育機関認定法第27条に定められています。
登録日本語教員になるためには、この実践研修を必ず受講して修了しなければなりません。
実践研修を受講するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 日本語教員試験の基礎試験に合格している
- 登録日本語教員養成機関の養成課程を修了または修了見込み
①は試験ルート、②は養成機関ルートを選択した場合の要件と読み取ることができます。
各ルートを選択した場合の、実践研修までの道のりを以下の図で見てみましょう。


実践研修は、登録日本語教員になるうえでの最終段階の過程と考えることができます。
なお、養成機関ルートには、養成課程と実践研修が一体になっている場合と別々の場合があります。
多くは一体になっているケースのため、受講生にとっては、実践研修を独立して意識することはあまりないかもしれません。
一方で、試験の合格のみが前提である試験ルートの場合は、実践研修が「最初で最後の実践機会」となります。
実践研修の目的は、知識を実践に結びつけ、教育現場で通用する技能を身につけることです。
実践研修を修了することで、登録日本語教員としての知識・技能・態度を習得しているとみなされ、国家資格要件を満たすことができます。
実践研修に進むためには、まず試験突破が必要です。試験内容や対策については以下の記事で詳しく解説しています。
実践研修の構成・内容は?修了要件はある?


実践研修は、日本語教師として教壇に立つために必要な実践的技能を養成する最終段階の研修です。
このあと、実践研修の内容について、見ていきます。
なお、ここでは、主に試験ルートで、単独の実践研修を受講する場合について解説していきます。
実践研修の全体構成
実践研修は、文部科学省の認可を受けた「登録実践研修機関」で行われます。
民間の日本語教師養成スクール、または大学が主な研修場所です。
実践研修は、「実践研修コアカリキュラム」に基づき、各機関が作成したカリキュラムに沿って実施されます。
実践研修は、45単位時間(1単位:45分以上)以上で構成(大学の場合は1単位)。
教壇実習は45分以上の授業を2回以上行います。
実践研修に含まれる学習項目は以下のとおりです。
- オリエンテーション
- 授業見学
- 授業準備
- 模擬授業
- 教壇実習
- 全体総括
次に、実践研修で学ぶ具体的な内容と流れをご紹介します。
実践研修の項目・順序
実践研修で学ぶ内容は「実践研修コアカリキュラム」における6つの学習項目です。
それぞれの項目の内容と流れを見ていきます。



私は試験ルートで試験合格後、実践研修を受講しました。その体験も踏まえて、説明します。
実践研修全体の目的・流れ・内容・修了要件に関する説明を受けます。そのうえで、目標を設定するとともに、実践研修を行ううえでの心構えを理解します。私が受講したところでは、次回以降の実践授業に備えて、eラーニング学習と対面授業で前提知識の確認が行われました。
実際の教育現場の授業を見学します。見学先は、原則として、教壇実習を行う現場の教育機関です。実際の授業の流れや学習者の様子を観察・分析することで、授業計画の参考になります。私の場合、外部機関での授業見学だったため、日程や時間の事前調整も自分たちで行いました。
教壇実習のための教案(授業計画)を作成します。担当する項目は、あらかじめ指導担当講師から示されます。指示された内容と授業見学で得られた情報をもとに、授業の実施に必要な教案と教具を準備します。
準備した教案をもとに、模擬授業を行います。基本的には、受講生が教師役と学習者役に分かれて、互いにフィードバックする流れになります。準備した教案・教具が妥当なものなのか検討することが主な目的です。これをもとに、教案・教具の改善をして、教壇実習に臨みます。
実際の学習者(5人以上)に対して、単独で45分以上の授業を2回以上行います。教壇実習の現場は、主に認定日本語教育機関の日本語学校です。私の場合は、外部の日本語学校に出向いて、2回の授業を別日に行いました。
実践研修全体の振り返りを行います。機関によっては、修了テストやレポートなどが課される場合もあります。
実践研修の修了要件
修了要件は、研修機関によって異なります。
ただし、要件は、各研修期間が事前に文部科学省の審査を経て設定されているものです。
ただ受講するだけでは修了とはなりません。
出席率、参加態度、教案の質、模擬授業・教壇実習の内容、課題レポート、修了テストなどを、総合的に評価されると考えられます。
詳しい評価基準・修了要件については、オリエンテーションなどで説明がありますので、しっかりと確認し、要件を満たせるように取り組みましょう。
この実践研修を修了することで、修了証が交付されます。
修了証は、登録日本語教員の登録申請時に添付します。
登録日本語教員|実践研修の期間・スケジュール
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国家資格要件を取得するには、45単位時間以上の実践研修課程を修了しなければなりません。
このため、仕事や家庭との兼ね合いで、スケジュール調整が必要な場合もあります。
修了までの期間・スケジュールは、研修機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
ここでは、実践研修の期間・スケジュールについて、おおまかな目安をお示しします。
受講期間
実践研修の期間は、おおむね2〜6か月程度です。
民間スクールで、週2〜3日の昼間帯のコースであれば最短2か月で修了することも可能です。
一方で、夜間帯や土日のみの場合、6か月以上かかる場合もあります。
期間は、コースのカリキュラムや実習先のスケジュールによっても変わります。
受講形式(通学・オンライン)
実践研修の受講形式は、通学もオンラインも可能です。
オンラインの場合、リアルタイムの双方向型となります。
ただし、オンラインコースであっても、教壇実習は原則対面で実施されます。
そのため、完全オンラインで完結するわけではない点に注意が必要です。
働きながら受講できる?
働きながら受講している人も多く、土日中心のコースや夜間コースを設けている機関もあります。
ただし、教壇実習の日程は実習先の都合に左右されるため、完全に自分の希望通りになるとは限りません。
教壇実習の日程は、実習先の日本語学校の授業日程に合わせて設定されることが多く、平日昼間に実施されるケースもあります。
実践研修の受講に期限はある?すぐに受けるべき?
実践研修は、基礎試験合格または養成課程修了の要件を満たせば、必ずしも合格直後に受講する必要はありません。
現時点では受講期限は設けられておらず、数年後に受講することも可能です。
ただし、実践研修は定員制で実施されるため、合格発表直後は申し込みが集中する傾向があります。
すぐに受講しない場合でも、研修機関の情報は早めに把握しておくと安心です。
仕事や家庭の事情など、それぞれの状況に合わせて受講時期を検討するとよいでしょう。
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登録日本語教員の実践研修はどこで受けられる?


登録日本語教員の実践研修は、国に登録されている「登録実践研修機関」で受けることとされています。
国家資格制度の開始に伴い、実践研修は国に登録された機関のみが実施できる仕組みになっています。
実際にどのような機関なのか、解説していきます。
登録実践研修機関とは?
登録実践研修機関は、2024年に施行された国家資格制度に基づき、実践研修の実施を認可された機関のことです。
主に、日本語教師を養成する教育機関が対象で、コース・カリキュラム内容や指導体制などについて、文部科学省の審査を経て、認可・登録されています。
多くは、以前から養成機関として日本語教師の育成に携わってきた機関です。
制度開始当初よりも登録機関は増えつつありますが、地域によって偏りがあるのが現状です。
とはいえ、全国津々浦々というわけではないため、受講を検討する際には、最新の情報を確認する必要があります。
最新の状況は、日本語教育機関認定法ポータルサイトで確認できます。
登録実践研修機関の種類は?
登録実践研修機関には、民間の養成スクールと大学(大学院)の2種類があります。
それぞれの特徴を次のようにまとめてみました。
▼登録実践研修機関の種類と特徴▼
大学の場合、ほとんどが養成課程プログラムのなかに実践研修が組み込まれており、主に養成機関ルートの向けといえます。
一方で、民間スクールは、実践研修のみのコースを設置しているところもあります。
このため、試験ルートで資格取得を目指す場合は、民間スクールを選択することになるでしょう。
また、大学は在学生向けのプログラムがほとんどのため、社会人や他大学の学生の方は、民間スクールを探すことになりそうです。
登録実践研修機関が近くにない場合は?
コース選択の幅があり、社会人でも受講できる民間スクールの研修機関は、大都市に集中しているのが現状です。
このため、地方在住の場合、選択肢が少なかったり、スクール自体が通学圏内にないということもあるかもしれません。
その場合は、オンライン併用型の実践研修コースを検討してみましょう。
これにより、教壇実習などの対面形式を除き、双方向型のオンラインで修了できます。
通学が必要な場合についても、住まいによっては、地方の大都市よりも、東京・大阪のほうがアクセスがいい場合もあります。
修了に必要な通学日数やコース内容などについて、事前に研修機関に相談することをおすすめします。
実践研修は登録日本語教員取得の最終段階です。
受講機関の選択は、その後のキャリアにも影響するため、制度・期間・費用を総合的に比較して検討することが大切です。
なお、試験対策講座によっては、実践研修の優先案内やスムーズな進学サポートが用意されている場合もあります。
試験段階から計画的に準備したい方は、以下の記事も参考にしてください。
登録日本語教員|実践研修の費用はいくらかかる?


登録日本語教員の実践研修には、まとまった費用が必要です。
かかる費用は、どのスクールのどのコースを選択するかによって、幅があります。
それでも、ある程度の目安を把握し、計画的に準備しておくことで、スムーズに受講を開始することができます。
ここでは、実践研修にかかる費用の目安に加え、追加でかかる費用についても解説していきます。
費用の目安
民間スクールが実施する実践研修にかかる費用は、おおむね
10〜20万円程度
が目安です。
ただし、機関やコース内容によって差があり、20万円を超えるケースもあります。
研修費用には、入学金や教材費、施設利用料などが含まれていない場合があるため、確認が必要です。
なお、養成課程一体型の場合は、受講料に実践研修費用が含まれていることが多く、総額としては50〜70万円規模になります。
大学は、全体の学費に含まれているケースがほとんどのため、実践研修のみの費用を算出することは困難です。
費用に幅がある理由は?
民間スクールの費用には、かなり幅があり、内容をよく検討する必要があります。
費用の差が出る理由として、次のポイントが考えられます。
- 研修のコマ数
- 実習機会の回数
- 理論講座の有無
- クラス人数(少人数制かどうか)
試験ルートは実践機会が乏しいことから、技能面を強化するコース内容の場合、費用が高額になる傾向があります。
また、実践に役立つ理論の補講を実施するコースも、その分高くなります。
このほか、サポートの手厚さの面も費用の差が出るポイントになると考えられます。
このように、費用に幅があるのが現状ですが、いずれの機関であっても、修了すれば国家資格要件は満たされます。
追加でかかる費用はある?
実践研修には、研修費用のほか、追加で費用がかかる場合があります。
追加でかかる可能性のある費用としては、次のものが考えられます。
- 教材費(日本語の教科書など)
- 教具作成にかかる費用(コピー代、紙代、インク代など)
- 交通費(研修先、実習先)
- 通信費(オンラインの場合)
- 宿泊費(地方の場合)
日本語の教科書は、実習先が使用しているものを自分で購入する場合があります。
また、授業で使用する、絵カードやフラッシュカードなどを自分で用意する場合の費用がかかる可能性があります。
このほか、追加費用とまではいえませんが、実習形式によっては、パソコンや記録媒体を持参する必要がある場合もあります。
受講前は、細かな費用まで想像がつかないこともありますが、おおむね、このような追加費用がかかることを念頭に置いておくとよいでしょう。
もし、追加費用に不安がある場合は、事前に研修先に確認することをおすすめします。
以上、実践研修にかかる費用について解説しました。
実践研修にかかる費用は決して安くはありません。
だからこそ、事前に見積もって、計画的に準備をしておけば、費用の不安を抱えることなく、実践研修をスタートできます。
実践研修は資格取得の最終段階であり、登録日本語教員になるためにとても大切なステップ。
費用だけでなく、日程や実習環境も含めて総合的に判断することが重要です。
【体験談】登録日本語教員の実践研修の様子をお話しします


ここからは、試験ルートで実践研修を受講した私の体験をもとに、実際の流れや雰囲気についてお伝えします。
私は令和6年度の日本語教員試験に合格後、すぐに実践研修を受講しました。
私が受講した実践研修コース
受講したのは、民間スクールの短期集中型コース(約2か月)。
通学中心で、平日昼間帯に10日間で修了する形式でした。
実習先は外部の日本語学校で、授業見学1回、教壇実習2回を行いました。
受講生は7名で、遠方からオンライン参加している方もいました。
実践研修は、教壇実習を最終目標として進んでいきます。
2回目の授業で担当文型が割り振られ、まずは模擬授業に向けて教案作成に取り組みます。
教案作成と模擬授業で感じたこと
模擬授業は45分間の授業をそのまま実施する形式でした。
私が作成した教案はA4で21ページ。
実習先では電子黒板を使用するため、パワーポイント資料も50枚以上作成しました。
文型が決まってから模擬授業まで実質3〜4日ほどしかなく、短期間での準備が求められました。
久しぶりに1つの授業設計にこれだけ時間をかけたことで、授業構成を1から見直す機会にもなりました。
模擬授業では、受講生が教師役と学習者役に分かれ、交代で45分授業を行います。
終了後は講師と受講生からフィードバック。
実際に授業を行ってみると、教案どおりに進むとは限りません。
例文の適切さ、練習活動のつなぎ方、時間配分など、細かな部分で改善点が見えてきます。
特に印象的だったのは、学習者がノートを取る時間の確保とタイミングについての指摘でした。
教案上では自然に進む想定でも、実際には学習者の反応や理解速度によって調整が必要になります。
また、コーラス練習では、発音が揃わなかった場合の対応も課題になりました。
授業は常に予定通りに進むわけではないため、何を優先し、何を削るのかを事前に明確にしておくことの重要性を実感しました。
教案作成では活動を詰め込みがちになりますが、授業の目的を明確にすることで、構成が整理されていきます。
さらに、クラスメイトからのフィードバックも貴重でした。
ワークシートの見やすさや指示の明確さなど、学習者目線での改善点は、自分では気づきにくい部分です。
教壇実習で気づいたこと
模擬授業でのフィードバックを踏まえ、教壇実習までの間に教案を修正し、本番の授業に臨みました。
約20名の留学生を前にした授業は、やはり独特の緊張感があります。
事前に準備はしていても、学習者1人ひとりの理解度や性格、反応は当日にならなければわかりません。
実際の授業では、想定どおりに進む場面もあれば、予想外の反応によって調整が必要になる場面もありました。
その中で強く感じたのは、やはり準備の重要性です。
教案作成と模擬授業の段階でどれだけ具体的に想定できているかが、当日の余裕につながります。
実際に体験してみて思ったのは、教壇実習は「試験」というよりも、自分が日本語教師として教壇に立ったときの姿を具体的に描く機会なのではないかということです。
実際の教育現場でも、すべての授業が理想どおりに進むわけではありません。
試行錯誤を重ねながら改善していく点は、実践研修も同じです。
実践研修では、教案作成や模擬授業、教壇実習を通して、知識を実際の授業に結びつけるプロセスを経験します。
その過程自体が、登録日本語教員として教壇に立つための大切な準備段階なのだと思います。



試験ルートの場合、実践研修は最初で最後の実習機会。制度上の要件という側面もありますが、資格取得後の自分の将来を考えるための貴重な機会でもあるように思いました。
なお、私のnoteでは、実践研修修了後の感想も語っていますので、もしご興味があれば、そちらもお読みください。
登録日本語教員の実践研修は「資格取得の最終ステップ」


登録日本語教員になるためには、実践研修の修了が必須です。
日本語教師としての技能を身につけ、向上できるのが実践研修であり、資格取得までの最後のステップでもあります。
試験ルートの場合、実践経験を積む機会が限られているため、貴重な場にもなるでしょう。
期間や費用、受講形式は機関ごとに異なりますが、事前に制度を正しく理解し、計画的に準備しておけば、安心して受講することができます。
登録日本語教員をめざす方は、自分に合ったルートと研修機関を選び、着実にステップを進めていきましょう。
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