登録日本語教員の国家資格をめざす方法のひとつに、「試験ルート」があります。
養成機関を経由せず、試験に合格することで資格取得をめざせるルートですが、
「本当に独学でいける?」
「どのくらい難しい?」
と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
試験ルートは、費用面では比較的抑えやすい一方で、学習計画や準備の質が合否を大きく左右するルートです。
制度を正しく理解せずに選んでしまうと、想定以上に遠回りになる可能性もあります。
この記事では、
- 試験ルートの具体的な流れ
- 難易度や合格率の実情
- 独学で挑戦する場合の現実
など、試験ルートの概要から気になる実情まで、詳しく解説します。
登録日本語教員実際に試験ルートで資格を取得した立場から、できるだけ率直にお伝えします。
試験ルートを検討している方には、ルート選択の判断材料として、参考にしていただければと思います。
登録日本語教員の試験ルートとは?
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登録日本語教員の資格取得ルートは、「試験ルート」と「養成機関ルート」の2つに分かれています。
そのうち、試験ルートは、養成機関を修了せずに、日本語教員試験に合格することで資格取得をめざす方法です。
2024年に国家資格として制度が開始され、それまであった複数の日本語教師資格から公的資格としての「登録日本語教員」に移行。
正式な取得ルートのひとつとして、試験ルートが位置付けられています。
試験ルートでは、以下の流れで資格取得をめざします。
- 日本語教員試験(基礎試験・応用試験)を受験
- 合格後、実践研修を受講
- 修了後、登録日本語教員の申請
- 審査後、結果通知・登録証交付
試験に合格し、所定の登録手続きを行うことで「登録日本語教員」として名簿に登録されます。
養成機関ルートと異なり、日本語教師養成講座の受講は必要ありません。
そのため、
- 費用を抑えられる
- 自分のペースで学習できる
といったメリットがあります。
一方で、試験の出題範囲は広く、基礎試験の合格基準が高いため、十分な学習戦略が求められます。



私は、制度開始初年度に試験ルートで受験しましたが、特に基礎試験の範囲の広さには想像以上に苦戦しました。
試験ルートは「独学でも挑戦できる制度」である一方、「計画的な準備が不可欠なルート」でもあります。
試験ルートと養成機関ルートの違いとは?
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登録日本語教員の資格取得ルートは、大きく分けて「試験ルート」と「養成機関ルート」の2つがあります。
まずは、文部科学省が公表している公式図で全体像を確認してみましょう。


この図の右側が試験ルート、左側が養成機関ルートです。
大きな違いは、主に次の3点です。
最大の違いは「基礎試験の扱い」
試験ルートでは、基礎試験・応用試験の両方を受験し、合格する必要があります。
一方、養成機関ルートでは、登録日本語教員養成機関を修了することで基礎試験が免除。
基礎試験は合格基準が高く設定(8割)されており、ここが大きな壁に。
基礎試験受験の有無が、実質的なハードルの差となります。
試験ルートは、すべての試験を自力で突破する前提のルートです。
学習スタイルの違い
試験ルートは、基本的に独学中心です。
自分で教材を選び、学習計画を立て、進捗管理を行います。
一方、養成機関ルートはカリキュラム制で、理論だけでなく模擬授業などの実技も体系的に学びます。
「学習を自分で設計できるかどうか」が、大きな分かれ目になります。
費用の違い
試験ルートは受験料や教材費のみで済むため、初期費用は抑えられます。
一方、養成機関ルートは数十万円規模になります。
ただし、この差は、試験を1回で突破した場合のものです。
試験ルートの最大の難関である基礎試験は、合格率が低いため、不合格になった場合、さらに時間も費用もかかることになります。
費用については、時間や確実性との兼ね合いも含めて考慮したほうがよさそうです。
受験者数の違い
実際の受験者数を見ると、現状では養成機関ルートを選ぶ人のほうが多い傾向があります。
これは、
・基礎試験免除の確実性と安心感
・実技を含めた体系的学習
・本気で就職をめざす層が多い
といった背景があると考えられます。
一方で、試験ルートは
・すでに教育経験がある
・独学で進められる自信がある
・費用を抑えたい
といった人が選ぶケースが多い印象です。
【比較表】まとめ
試験ルートと養成機関ルートの違いについて、ここまでを表で整理すると、以下のとおりです。
| 試験ルート | 養成機関ルート | |
|---|---|---|
| 試験 | 基礎+応用 | 応用のみ |
| 学習方法 | 独学中心 | 講座カリキュラム |
| 費用 | 20〜30万円 | 60〜80万円 |
| 向いている人 | 経験者 / 独学志向 | 初学者 / 体系的学習 |
次に、試験ルートの具体的な流れについて、詳しく解説します。
登録日本語教員|試験ルートの具体的な流れ
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登録日本語教員の試験ルートは、次のステップで進みます。
- 出願
- 日本語教員試験の受験
- 実践研修の受講
- 登録申請
順番に見ていきます。
出願
出願サイトからオンラインで、日本語教員試験の出願を行います。
試験ルートには受験資格はないため、サイト説明に沿って、必要事項の記入と顔写真データの提出などで、出願が可能です。
受験料は18,900円、指定された方法で納付します。
出願期間は、例年7〜8月頃です。
受験
基礎試験と応用試験の両方を受験します。
基礎試験では日本語教育に関する基礎知識、応用試験では基礎知識に加え、問題解決能力を問う問題が出題されます。
また、応用試験には聴解試験と読解試験があります。
試験ルート受験者は、ほぼ1日がかりの試験となり、体力勝負の側面もあります。
実践研修
試験合格後、研修機関において、実践研修を受講します。
模擬授業と教壇実習がメインで、実践場面に必要な知識とスキルの習得を行います。
教壇実習では、実際の学習者を相手に、45分授業を2コマ以上行うこととされています。
期間は最短でも2か月以上、受講費用は10〜20万円程度です。
試験合格と実践研修修了により、国家資格要件を満たすことができます。
登録申請
試験の合格証、実践研修修了証など、必要書類を添付して、登録申請を行います。
審査の結果、問題なければ、登録完了となり、登録証が交付されます。
登録料は4,400円、申請から登録まで2〜3か月程度かかります。
これをもって、国家資格「登録日本語教員」の資格者となります。
以上、試験ルートを選択した場合の国家資格取得までの流れを見てきました。
流れとしてはシンプルですが、実際に経験してみると、中身がとても濃く感じるのではないかと思います。



実際の勉強期間は決して楽ではありませんでした。特に独学で進める場合、孤独を感じる場面も多かったです。
試験ルートは、ステップは少ないものの、受験までの試験勉強期間も含めると、道のりは簡単ではないことがわかります。
では、「試験ルートでの資格取得がどの程度難しいのか」について、次では、その難易度を見ていきます。
試験ルートの難易度は?


登録日本語教員の試験ルートは、決して簡単なルートではありません。
まず前提として、基礎試験・応用試験の両方に合格する必要があります。
ここでは、試験ルートの難易度について、見ていきます。
なお、養成機関ルートとの比較など、全般的な日本語教員試験の難易度について解説した記事もありますので、参考にご覧ください。
試験ルートの合格率
日本語教員試験における試験ルート合格率は、直近では30%台となっています(年度により変動あり)。
数字だけを見ると極端に低いわけではありません。
しかし、第1回試験では10%を切ったこともあり、年度によっては、厳しい合格率も覚悟する必要があります。
基礎試験の合格基準は8割と高く、区分ごとの基準(6割)も設定されているため、広い出題範囲を満遍なくカバーした学習をしなければなりません。
詳しくは、日本語教員試験の合格率を解説した記事でご紹介しています。
試験ルートは独学中心の学習
試験ルートは、基本的に独学が前提になります。
教材選び、学習順序、優先順位づけなどの判断を、すべて自分で行う必要があります。
独学が得意な人にとっては自由度の高いルートですが、学習設計が曖昧なまま進めると、本試験までに間に合わず、遠回りになる可能性があります。
過去問が非公表なため、対策が立てづらいのも厄介。



私が受験した初年度は、基礎試験で応用力を試される問題が多数出題されて、かなり苦戦しました。
私の受験体験は、noteで当時の感想を語っていますので、よろしければそちらもご覧ください。
試験ルートが向いている人・厳しい人
試験ルートの難易度は、受験者の背景によって大きく変わります。
試験ルートで比較的有利になりやすいのは、
- 過去に日本語教育能力検定試験に合格している
- 日本語教育の経験がある
- 言語学に関する基礎知識がある
といった人です。
一方で、未経験から挑戦する場合や、学習計画を立てるのが苦手な場合は、対策にかなり手こずることが予想されます。
試験ルートでは、単に勉強時間を確保するだけでなく、「どの分野にどれだけ時間をかけるか」という戦略が合否を左右します。
試験ルートは独学で合格できる?


結論から言えば、試験ルートは独学でも合格可能です。
実際に、私自身も含め、独学をベースに合格している受験者はいます。
ただし、「とりあえず勉強すれば何とかなる」という試験ではありません。
特に、学習にどれだけ時間を確保できるかが大きなポイントになります。
一定期間学習に集中できる環境がある人にとっては、独学もひとつの選択肢にできるでしょう。
独学で挑戦する場合の具体的な勉強法などの詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
一方で、前提知識があっても、十分な学習時間を確保できなければ、独学は厳しいといえます。
仕事や家事・育児などとの両立が必要な場合は、試験対策講座を活用する方法があります。
試験対策講座の種類・内容などについて詳しくは、以下の記事でまとめています。
登録日本語教員の試験ルートは「自力突破型」の資格取得ルート
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ここまで、登録日本語教員の試験ルートについて、
- 具体的な取得の流れ
- 難易度
- 独学の可能性
を見てきました。
試験ルートは、養成機関を経由せずに国家資格をめざせるルートですが、基礎試験・応用試験の両方を突破し、その後の実践研修を修了する必要があります。
費用面では抑えやすい一方で、学習設計や自己管理の精度が合否を左右する「自力突破型」のルートと言えるでしょう。
すでに一定の知識や経験がある方には挑戦する価値のあるルートですが、未経験の方は、慎重に検討する必要があります。
自分に合った方法を選び、納得のいく形で国家資格取得をめざしていきましょう。









